ぼくはとってもついていたんだと思う
年も暮れ新しい年が来ると72歳になります。この八百屋をはじめてから42年になります。
振り返ると、「ついていたなあ」とつくづく思ってしまいます。
ついていると言ったって「大金持ちになった」「名声を得た」「宝くじで大当たりがでた」という訳ではなく、この家族でこの仕事を今も続けられているといった程度のものです。
八百屋をはじめたきっかけのひとつが、TOKYOキッドブラザーズの『黄金バット』を観に行ったことでした。
フィナーレで「みんなもステージに上がってこいよ」みたいなアピールがあって、勇気を出してステージに駆けあがり、肩を組んで「街にとびだそう!」みたいな歌を歌い、「そうだ、オレも格好良く街にくりだそう」と思ったのです。
そして、勤めを辞め、リヤカー八百屋として街にくり出したのです。
そんなフィクションの感動がリアルワールドで続く訳がなかったのに、思いもしない仲間がふえ、グループもつくって「ポラン広場ネットワークを全国へ!」の旗印を掲げ、今に至ったのです。
その間何度も何度も「もうダメかな。アウトかな」の局面に遭遇したのですが、とりあえずのレール1本を継いできたのです。
なんだか、一途な真摯な気持ちだけみたいだけど、お金をチョロまかしたり、パワハラやセクハラまがいのこともやったなあと恥じいる気持ちいっぱいのこともありました。
ぼくには秀でたことは何もありませんでした。理想や信念や、人や物やお金に対するこだわりが、仲間たちに比べ強かったり優れていることはありませんでした。
それでも、こんな風にやってこれたのは、「ついていた」としか言いようがないのです。
「来年もこのまんまいけるといいなあ」とノーテンキな気持ちでいます。
1年間本当にありがとうございました。新年は「わたしたちついてるわネ」と笑い合える年にしたいと思います。
狩野