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阪井くんからの手紙2023

45年前、あひるの家がまだリヤカー八百屋だったころの仲間で、その後地元富良野に戻り有機農業をはじめた阪井くんから、今年も収穫の秋便り『ももんが便り2023』と、もう一つスタッフ狩野&くみさん宛てのお手紙が届きました。
北海道富良野市にある、『富良野百・我(ももんが)』阪井くんの畑は、美しい山々、木々に囲まれた小盆地に広がります。
冬は雪に覆われる一方、夏の気温は日中30℃以上に上がることもある、季節にメリハリのある恵みの大地。昼夜の寒暖差が激しいからこそ、日中太陽の光を浴びて貯えた栄養を損なうことなく、甘みと旨みたっぷりに育ちます。

妻の故郷の鹿児島より暑い日が続いた北海道。ようやく長い暑い夏も終わり秋風が吹き始めています。
今年の雪溶けは早く、スタートダッシュをきろうと意気込み、芋から植え始めた春!
今年は順調な滑り出しと思っていましたが、思いとは裏腹に雨つづきの春でもありました。
雨の影響で玉葱と麦はスタートが遅れ、その後のタイミングで玉葱は雑草に追われ草取りの毎日でした。
そのおかげで、洗濯機はいつもオニオンスープの香りが…!?
若い百姓は100の力で鍬を振り、老いた百姓は2/3の力で同じ仕事をこなす。若い時の100の力が今につながると、誰かが言っていました。その齢になったはずなのに、ふくらはぎ、腰は、ぷるぷる。まだ悟りは早く、まだまだこれからという事でしょうか?
6月7月は真逆に雨が少なく野菜達は小ぶりですが、この厳しい暑い夏を乗り越えた、たくましさに感謝。元気を蓄えた野菜達、美味しく育ちました!口にされた時、北の秋風と元気を感じていただけたら、私達の明日への鍬を持つ手にも元気がでます。
P.S. 3年目の黒ネコのうみは雨上がりに時々出没する野うさぎのうーさんと窓ごしに見つめ合う時を過ごしています。

45回目収穫の秋
富良野百・我(ももんが) 阪井 永典

あの頃あんなに若くてかっこよかった(元ボクサー)阪井くんも、もう2人の孫のいるおじいちゃん。息子のソウタも主戦力となっているみたいでうれしい限りですね。
阪井くんからは絵本のようにすてきな箱に入った【有機赤玉ねぎ】有機じゃが芋】【有機玉ねぎ】【有機南瓜】などが北の大地のカレー畑から届きます。

畑だより ―それでも畑に秋がやってきた―

過酷な暑さが続いていますね。畑の作物も、耕す百姓も、食べる私達もヘタッテ枯れそうです。
端境期(夏野菜が終わって秋冬野菜がまだ)に入り、野菜不足にも拍車がかかりそうです。
送られて来る各産地の野菜情報には、「欠品」「終了」「虫害のため減少」「雨量不足のため生育せず」「発芽せず播き直すが、大幅に遅れるか」「高温少雨のため立ち枯れ」などの情報ばかりの現状です。
それでも秋なのではじまった野菜・果物があります。
まずは「初栗」です。
八王子キテレツファーム神田君の所から「丹波栗」がはじまりました。大粒の早生種で、ホクホクして甘いです。2~3週間続きます。冷温保存しておくと甘味がまします。常温だと表皮に虫が発生する場合があります。
昨年秋、神田君の畑を見に行った時、栗拾いをやりました(というより、やらされた)。軍手の上にゴム手袋をして、樹の下に落下しているイガ栗を拾うのですが、イガがようしゃなく指をさしてきます。集めて鮮度のいいのを足で踏んで実をとりだすのです。艶やかで実がぷっくりして旨そうです。ただ、傾斜のある栗林なので、踏んばってなけりゃいけないので疲れるのです。
「神田~、もういいよな」と弱音を吐くと、「もう少しガンバッテください」との返事。「オレ、畑の手伝いに来た訳じゃないんだゼ」とブツブツ。
昼食に連れていってもらった『ウッディノート』というパスタ屋さんはとてもおいしくて、2人でモリモリ食べました。少し涼しくなったら『ウッディノート』のパスタを食べたいばかりに神田君の畑に行って来ようと思います。
そうそう、この夏のトピックスは神田君の西瓜がでたということです。
「西瓜作ったんですよ。大きいんだけど」と連絡があった時、「エ~ッ!おまえ野菜農家だろ。果物難しいんじゃねえの」と言うと、「これがウマイんですよ。西瓜好きのおかあちゃんが絶賛してましたから」。
届いた西瓜は真っ黒の超大玉(7~8kg)。切ってみると表皮が薄く、見事な赤。食べてみるとシャリシャリ甘い!「有機」の西瓜も初めてだけど、こんな旨い西瓜も初めてかもしれないと感動ものでした。
神田君の畑からはナス・キュウリ・ピーマン・ミニパプリカ・丸オクラ・南瓜が届いています。
神奈川愛川のけのひ農場北原君・祥ちゃんからは、キュウリ・ナス・ピーマン・ニガウリ・空芯菜・青じそ・サンマルツァーノが出ています。新しく葉しょうが・生落花生・ミニ冬瓜がはじまります。
昨夏、コロナと熱中症でスタッフが次々とリタイアし、手が回らず秋冬野菜の作付に大ダメージを受け、秋に伺った時に「百姓やめようかと真剣に思ったよ」と追いこまれていたけれど、今年は若手の主力スタッフも加わり、その分畑も広げ「さあ」という時に7月に突然辞めてしまって、広げた分の畑の対応に四苦八苦の日々のようです。子供たち(3人)への激励をこめて「アイスキャンデー」を送りました。
栃木鹿沼の鈴木章さんから9月中旬位に新米が届きます。コシヒカリ・農薬化肥不使用・価格は「考えてねえよ。今までと同じ」ということでした。
昨年秋に伺った時、「そろそろ畑終いを考えなけりゃあな」と言っていたのですが、今年もやっぱりガンバッタようです。夫婦そろって私と同じ75才なので、1年1年お互い励ましあっています。
野菜・果物は梨(幸水・豊水)・ぶどう(ピオーネ・サニールージュ・シャインマスカット・ベリーA・ネオマスカット)・りんご(つがる)・プルーン・キウイフルーツ・バナナ・最後の小玉西瓜・沖縄シークワーサー(レモンのかわりに使えます)になります。ほうれん草・小松菜・春菊などの葉物類は9月下旬位から本格的にはじまります。
まるで山登りをしているような毎日です。見えたと思った頂上がまた見えなくなり、また足元を見ながら一歩一歩歩んでいくような日々です。
秋よこい!それまでなんとかしのいでいきましょう!

畑だより ―残る半分の夏をうっちゃっていけるのか?―

毎日2時位から3時位まで口数も少なくなり、体を動かすのもおっくうになり、よどんだ空気が店内を漂っています。5時過ぎると外の空気も少し変わり、「水やりしようか。あと2時間位だし」と気持ちを奮いたたせる日々です。本当にスゴイ夏ですね。
「眠られてる?」「食べられてる?」と日々の無事を確認し合うのが、お客さんとのやりとりのルーティンになっています。せめて食べて元気になりましょう。
この暑さと雨のなさでおいしさが際立っているのが果物です。
やっぱり夏をいえば西瓜です。青森木造町から小玉西瓜が入っています。甘味が強くシャリシャリして、「あ~あ、夏だな」と食べてる時だけ夏に感謝したくなります。
同じく木造町の乳井さんたちからタカミメロン・ホームランメロンが届いています。意外なのが、白玉で果肉がコリコリしているホームランメロンが甘味が強く、今年新たな発見です。
梨(幸水・豊水)は奈良西吉野の王隠堂さんからの出荷です。桃は山梨一宮の久津間さん、ソルダム・巨峰・シャインマスカットは山梨勝沼平有機から、いずれも甘味がましています。
そして、ついにりんごの登場です。青りんご系の夏みどり・夏の紅・祝が入荷しはじめました。青森弘前の伊藤さん、青森新農研からの出荷です。
青りんご系ははじめてのりんごという目出たさはあっても、「おいしさはなぁ」と思っていたのですが、今年は◎です。雨が少ない分、今畑で出来ている果物は甘味が強いです。
果物に対して野菜は苦戦しています。
畑の土に水分が不足しているため、野菜は硬くなったり、しなびたり、大きくならなかったり、思うようにいきません。きゅうりやなすの表皮や実が硬くなってきて、トウモロコシ・枝豆などの豆も硬くなってきて、食味に難がでてきています。
井戸のある畑も井戸の水が涸れはじめ、散水設備のない畑ではただ雨が降るのを待っているしかありません。
一部の野菜は標高1000m位の高原に産地移動しました。山あいということもあり毎日夕立があり、畑の土はうるおっているようです。大根・キャベツ・レタス・サニーレタスが高原に移動しました。
夏にしか出荷されない野菜もはじまりました。
冬瓜(スープにして冷やすとウマイ!)・みょうが・ツルムラサキ・モロヘイヤ・万願寺唐辛子・ししとう・パプリカ・辛いハラペーニョ……、雨がなくともしぶとく育つ野菜はあります。
にんにく・生姜・唐辛子など使って元気の出る料理を食べましょう。私のよく食べるのはなすで、特になすの素揚げ。生姜・しそをふりかけ、だし醤油とポン酢をかけ冷やして食べるのがウマイです。
くたびれた時は「今日は餃子にしようか」と、にんにく・ニラ・豚ひきだけの餃子を作って、水餃子と焼き餃子にして食べます。
折り返し地点には来たと思うので、一日一日しのいでやりすごしてください。食べて体調を維持していきましょう。

畑だより ―夏のはじまりはいつもツライ!―

このムシ暑さ、どこの百姓たちもトーンが二段階位下がって音を上げはじめています。なんと言ったって遮るもののない畑の中での作業ですから、想像しただけでつくづく「百姓でなくてよかった」と思うのです。そこで、先ずは敬意を込めて私と同じ年齢(75才)の栃木鹿沼・鈴木章さんマツさんの畑から。
3週間位かかった田植えも終わり、ヤレヤレと一息つく間もなくこの暑さ。まず牛がやられました。朝夕の牛(8頭)への餌やり・牛舎の清掃に加え、大型扇風機で風を送ったり水浴びをさせたり、手間と気づかいがふえ、その分章さんの体力気力が削りとられているようです。
畑では自家用の夏野菜が育っていますが、あひるへの出荷は7月初旬からの南瓜・枝豆がはじまりです。例年、章さんの南瓜はホクホク甘くて、お客さんの評判はNo1です。「ここ数年、この夏で畑終いかなと思ってるよ。今年もこれで終わりだ。最後の力を振りしぼってやるゾー」と空元気を出していました。
一方、同じ鹿沼の田島君のトマトがはじまりました。この4月から栃木県庁を辞めて息子が一緒にはじめました。「村の畑を荒らしたくない」と引き受けてしまった畑はなんと3町歩。章さんと逆のベクトルに向かっています。あひるの夏のトマトのメインは田島君になります。
「去年の夏のようにはならないゾ」と、コロナと熱中症に翻弄され秋冬野菜の準備が出来ないまま終わってしまった神奈川愛川町けのひ農場の北原君・祥ちゃんは、この半年新しいスタッフも加わり比較的順調に来ていたのですが、咳風邪に家族全員かかってしまって、暑さで体力を奪われているだけでなく咳で一層辛い状態になっています。にもかかわらず野菜はグングン育っています。なす・コリンキー・キュウリ・セロリ・インゲン・モロッコインゲン・ズッキーニ・青じそなどが入荷しています。
そうそう、咳風邪にかかる前、北原君は35kmの山道を走り抜くマラソンにエントリーしたそうです。あまりのアップダウンの厳しさに、10km位で「ダメだと思ったのだけど、行くしか帰れないので地獄でしたね」と、いかにも北原君らしいチャレンジスピリット。無謀ともいうんだけど……。この夏ガンバッテください。
八王子キテレツファーム神田君は、ここ3~4回あひるへの配送ができず、育児休業中の妻サオリちゃんにお願いしています。3年前、八王子の畑を見せてもらった帰りに寄った自宅でサオリちゃんに会ったのですが、その時「君も畑をやるのかい?」ときくと、大きく手を振って「ダメダメ、陽にやけるからやらない」と朗らかに言い放ったのが、とても爽やかな印象でした。「もう大変みたいよ。朝起きたらいないし、夜もごはんたべた後ヘッドライト灯けて畑に出かけているし、夏まだはじまってないのにねえ」「そうだ、アイス買って帰ろうか」とキャンデーをひと抱えして笑顔でトラックに乗りこんでいくのでした。
「百姓をやるにあたって月々7万円家に入れる」という約束を、3年目にしてようやく果たせるようになって、神田君は家でも畑でも伸びのびしているようです。とうもろこし(これが絶品)・キャベツ・ビーツ・枝豆・なす・セロリ・ミニトマト・インゲン・キュウリなどが届いています。
あとは、ともかく一年で果物の最も豊富な季節です。大玉小玉西瓜・人気No1の桃・奄美大島野生種のガラリ(すもも)・山梨大石早生(すもも)・沖縄パイナップル・千葉メロン・栃木浜田さんのブルーベリー・和歌山内芝さんのびわ・そろそろおしまい河内晩柑・バナナと、今日は何を食べようと迷ってしまいます。今夏は雨が少なかったので甘い!です。
あっ!らっきょう、まだあります。注文ください。

畑だより ―夏がきたのか?今夏はどうなる?―

今回は果物から。
この暑さで待たれていたのが西瓜。小玉西瓜(姫甘水)が出ます。暑さで甘味もまし、一番成りで表皮が薄く、シャリシャリしています。冷蔵庫に入る大きさなので、丸ごと冷やして食べてみてください。
柑橘類(甘夏・グレープフルーツ・河内晩柑)は産地・生産者(神奈川・早藤さん)が変わって、しばらく続く予定です。貯蔵物なので酸味も抜けて甘味が濃くなっています。
茨城・竹村さんのいちごは終了です。今年も最後のいちごは近隣の老人施設の人たちに開放して、食べ放題イベントをやって畑じまいです。
しばらくするとブルーベリー(栃木・浜田さん)ビワ(和歌山・内柴さん/奈良・王隠堂さん)サクランボ(青森・伊藤さん)から出荷されます。
野菜はこの陽気でグングン育っています。
豆・サヤの季節がやってきました。
グリーンピース(栃木・鈴木章さん)空豆(茨城・額賀さん)絹さやえんどう(茨城・小沼さん)スナップエンドウ(山梨・立野さん)いんげん(沖縄・真南風)……いずれも2週間位出荷期間です。短いので食べ逃しがないように。ともかく、料理の幅がグ~ンと広がります。
北海道有機農協からはグリーンアスパラ出荷ですが、不作ということで少なめです。
あひるがおつき合いしている若手百姓たち(神奈川けのひ農場北原夫妻・八王子キテレツファーム神田君)は、早くも夏仕様の仕事ぶりにシフトして、早朝:畑~昼:事務・袋詰め・昼寝~夕方から夜:畑という働きで、どこのサーファーにも負けない位陽に焼けています。
けのひ農場からはミサキキャベツ・トレビス(苦いキャベツ)・大根・小松菜・ルッコラ・小かぶ・ズッキーニ・サラダケール・春菊・ニンニク……などが出荷され、いずれも鮮度抜群ド~ンとたくましい野菜たちです。
キテレツファームからはグリーンボールキャベツ・サラダケール・大根・小かぶ・ブロッコリー・ルッコラ・リーフレタス・サニーレタス……などが出荷。見た目も味も繊細で、キレイでおいしい。
2人の野菜を見ると、つくづく人柄って出るものだなあと思います。
「神田君は天才なんじゃない。あれだけの畑と野菜を手際よく作って出荷しているなんて。だってほぼ1人なんだゼ」と北原君は絶賛しておりました。
あとは、お米の栃木鹿沼・鈴木章さんからブロッコリー・カリフラワー・グリーンピース、少しおいて空豆が出ます。章さんもほぼ1人で野菜・米・麦・牛をやっているのだからスゴイ!人だと思うけど、わたしと同じ75才なので毎回「これで最後かな」と言っておりますが、シブトソウです。
大玉白菜(山梨・立野さん)セロリ(茨城・ハーブスマン)から出荷です。
ともかくヘコタレそうです。暑さに慣れるまでダラダラやりましょう。

※予告していた北原君・神田君の販売イベントは、今の仕事振りをきくと「1日あひるでやって」と言いにくいので、今回は難しそうです。

畑だより ―店先は春の息吹きであふれています―

沖縄からはじまった新玉ねぎ・新じゃが芋・ピーマン・インゲンなどの春の訪れは、ここ関東平野にもやってきています。年明けからの好天で畑の野菜の生育は順調です。
八王子・キテレツファーム神田君の処では、過去(といっても3年位)最大の耕作面積に作付けしたのだけど、どの畑の野菜も病害や虫害も少なく、収穫量が過去最大だったようです。
「3年たつと土が変わって安定するって言われるけど、そういうことなのかなあ」と、種まき・苗づくりに力を注いでいます。
これからの野菜は、小かぶ・サラダ春菊・サニーレタス・大根・ワケギ・ワサビ菜・ルッコラ・サラダケール、少し遅れてグリーンアスパラが出荷されてきます。
神奈川愛川町のけのひ農場北原君の処は、冬場ほとんど出荷野菜がなかったのですが、ようやく始まります。
冬野菜がなかったのは、昨夏のコロナ禍と酷暑でスタッフが倒れて出荷が精一杯で、冬野菜の準備が全くできなかった事に因るものです。「百姓やめようかな」と真剣に追いこまれていました。
サテ、いよいよ出荷です。春キャベツ・小かぶ・ネギ・カリフラワー・サラダケール・小松菜・ルッコラ・赤リアスからし菜・リーフレタス、少し遅れて大根が出ます。
北原ファミリーは先日5日間、瀬戸内海4島を巡るツーリングに出掛け、十分に力をたくわえてきたのと、千葉で2年間研修してきた29才のヒゲモジャの青年(?)が1年間の約束(その後独立)でスタッフとして加入。「この夏はダイジョーブじゃないかな。魔物が来たって今年は打ち負かせると思うよ」と言っておりました。
6月~7月、2人の店頭販売を予定しています。
5月になると昨年体調不良でお休みだった茨城・ハーブスマンから、ミニトマト苗・青じそ苗・スイートバジル苗、長野・吉沢君からパセリ苗が出荷されます。今季はハーブ苗・キュウリ・なすなどの苗はありません。
果物は昨シーズンなかった南伊豆の山本剛さんから黄金柑(おうごんかん)が届いています。ゆずとみかんのかけあわせでピンポン玉位の大きさで、甘さと香りはとびきりです。四つ割りにしてカブリつくと、口の中に春の息吹きがあふれます。こんなにおいしい柑橘はないなあと思います。
茨城・竹村さんからのいちご、青森・伊藤さんの王林・ふじ、熊本の福島さん・肥後あゆみの会・つなき甘夏生産者の会から甘夏・河内晩柑・グレープフルーツが届いています。貯蔵物なので酸味が抜けて甘味が濃くなっています。
「新」だとか「春」だとか名付けられた野菜は瑞々しくやわらかくてハツラツとしていて、「春はうまそうだなあ」と思うのです。たぶん「春の息吹」を体の中にとり入れるのだから元気になっていけるのだと思います。
いくゾ!春の向こうへ!

畑だより ―もう無理!タマゴ値上げさせてください―

ひのき山農場は栃木県南部の焼物で有名な益子町に隣接する地域にあります。
1982年26歳の時に開設したので40年余りになります。杉とひの木が生い茂り、地元の人達から「ひのき山」と呼ばれていました。
お金も人手もなかったので、チェーンソーを買ってきて樹木を伐採し切断し、鶏舎と豚舎を建てました。勿論、大工やキコリの経験はなかったので難儀したのですが、とても楽しい思い出です。
それ以前は「動物を飼ったり育てたりする仕事をしたい」と思い、養豚場で働いていました。
初めの頃はとても牧歌的な職場だったのですが、400頭を超えはじめる頃から分業化がはじまり、コスト効率と管理が主な仕事になっていきました。
その頃観たアメリカのドキュメンタリー映画は、豚の脚を切断し目をつぶし、ウインドレスにし高タンパクカロリーの餌を与える「先端的な畜産」を告発するものでした。日本も将来きっとそうなるんだろうなと思ったものでした。
「鶏や豚がのびのびと健やかに生活できる環境と、生まれてから死ぬまでをめんどうみれる畜産をやりたい」と思いがつのり、退社して農場をはじめたのです。
はじめて20年余り、鶏と豚の飼育と精肉・ハムの加工もやっていました。70kgを超える豚を素人ばかりが扱うのはなかなか難しくて、養鶏だけに切りかえました。
ひよこ(一日令)から飼いはじめ、土やおがくずを敷きつめた鶏舎の中をとびまわり、昼は窓を全開にして風を入れ、陽射しもたっぷりそそぎこんできます。
飼料は近隣の3人の農家に作っていただいた大麦・小麦が主で、卵を使ってもらっている学校の給食の余剰食材をもらったり、出荷できなかった野菜を分けてもらったり、地域資源を生かす工夫をしています。
だから、無理をして黄身の色を濃くしたり、白身の弾力をもたせる飼料をあげていないので、やや黄色が薄いかもしれません。足りない分は遺伝子組換えフリーの国産原料(ウコン・貝殻・昆布・ミョウガ・ハーブ・唐辛子・大豆粉など)を使っています。
そうすることで鶏たちは元気に生活できていると思うし、それが卵や肉を戴いている私達の鶏たちへの恩返しなのだという気持ちです。
今は4500羽位飼っています。一般の大型養鶏所では100万羽・10段ゲージ2階建て・ウインドレス・遺伝子組換え輸入穀物・薬多投の飼育をしています。
自分の思い描いた養鶏が出来つつあると思っていますが、ここ1~2年のエサをはじめとして包装資材・運送費・水光熱費・人件費などの値上がりは、工夫の限界をこえたものになっています。
スタッフは娘たちも含めて7人いるのですが、万年人手不足です。3Kを通りこして4K(キタナイ・クサイ・キツイ・キュウカガナイ)といわれる職場なので、人がなかなか居ついてくれません。賃金をアップさせなけりゃと思っています。
10年前に脳梗塞をやってから娘たちが気を使ってくれ、日々の仕事は娘たちとスタッフが仕切ってくれています。
だから、個人商店から法人になった時、会社名を娘たち推しの(有)おひさまぽかぽかにしました。銀行の窓口で「おひさまぽかぽか様~」などとアナウンスされると、すぐ立ち上がるのがはずかしいのは今もです。
今後ともよろしくお願いします。

ひのき山農場 高田 和彦

4月1日(土)から価格改定になります 
【平飼い卵】 1個 ¥82 / 6個入 ¥485 / 10個入 ¥805

4月1日、沖縄はなんと海開きです。

ということは、夏野菜がはじまりました。トマト・ピーマン・パプリカ・長なす・ズッキーニ・いんげん・ミニトマト・新玉ねぎ・新じゃが芋……もうすっかり夏です。
ただ、沖縄は海で隔てられているのでトラック輸送という訳にはいかないので航空便になります。「空とぶトマト」「空とぶパプリカ」「空とぶズッキーニ」とイメージ的にはいいのだけど、運賃が高く野菜と同じ位かかるので、売りづらい買いづらいということになりますが、季節先取り野菜を食べてください。
けのひ北原君(神奈川)キテレツファーム神田君(八王子)のところでも春野菜がはじまりました。
春キャベツ・ブロッコリー・のらぼう・菜の花・大根・サニーレタス・リーフレタス・新ほうれん草・新小松菜……冬野菜とはちがった、やわらかくてフレッシュな味わいです。
果物は柑橘類揃いぶみです。屋久島タンカン(これがウマイ!)・甘夏・はっさく・キヨミオレンジ・まだミカン、今年は裏年なので少量入荷・早期終了となります。味としては1月2月が寒かったので、どれも味が濃いです。いちご・りんご(ふじ・王林)・キウイフルーツ・バナナは続きます。
茨城・飯塚さんから、保存しておいたさつま芋(紅はるか)が再開です(焼き芋はやりません)。
もう少しで野菜満開です。

畑だより ―冬の野菜・果物のエライ!を食べる―

2月に入ると冬野菜が終了に向かい、かといって夏野菜はまだまだという長い端境期を迎えることになります。
野菜は基本的に冬型と夏型なので、春と秋は数少ないかその名残になります。
百姓たちは収穫・出荷に追われることも少なくなり、落葉をかき集めて堆肥作りをしたり、春夏野菜の苗作りをしたり、新しい畑の土越しをしたり、ゆったりした日々を過ごしているようです。
ところが、八百屋にとっては2月~4月半ば位までの端境期は入荷する野菜が激減し、あっちこっち手を打つのですが「売る野菜がない」「棚がスカスカ」という辛い時期になります。
「ナイナイ!」を売ってみても売り上げにならないし、モチベーションが上がりません。
「旬の八百屋の宿命だ」「以前はじゃが・玉・人参もなかったんだゼ」と言ってみたところで、お客さんに「なんにも無いのねえ」と言われつづけるとムッとして、「欲しい物がないだけだろ。ある物で工夫してくれよ」と思うこともあるのだけど、見渡してみると「他の店にはあるものなあ」と得心してしまうのです。
そんな愚痴っぽい季節でもあります。
ところが、今ある野菜・果物はウマイ!のです。「寒いけど、野菜がおいしいわネ」と言われるのもこの季節です。
ほうれん草や白菜などは筋っぽさがなくなって甘くなり、みかん類やりんごも甘さが濃くなっています。
それは、吹きっさらしの畑は貯蔵庫の中で凍って傷んでしまわないよう、自ら糖度を上げているからなのです。生命を長らえるための自衛作用ということなのです。スゴイ!エライ!と思います。
「それに比べてオレ達は重ね着したり暖房したり、軟弱だなあ」とも思いますが、寒いことは寒いので感謝していただきましょう。
寒さに耐えて旨味のました野菜・果物がでています。
ほうれん草・ちぢみほうれん草・小松菜・チンゲン菜・わさび菜・ケール・春菊・白菜などの葉野菜も、さつま芋・里芋・人参・じゃが芋・玉ねぎ・れんこん・長ねぎ・ごぼう・長芋などの根野菜も、一年で一番おいしいです。
ただ、凍ると傷むのでギリギリのところですね。
キャベツ・大根・ブロッコリー・カリフラワー・レタス・サニーレタスなどは、暖流が流れているせいで霜が降りない雪が降らない愛知・渥美半島のティエラスから、良い状態で入荷しています。
果物は柑橘類が揃いはじめ、みかん・はっさく・ネーブル・甘夏・伊予柑・デコポンが熊本・福島さんから、りんごは青森弘前・伊藤さんから、いちごは茨城・竹村さんから届いています。
厳冬期、あったくして甘い物を食べて乗り切りましょう。

畑だより ―たたかいすんで 日がくれて…畑に秋がやってきた―

「魔物にとりつかれた」ような過酷な夏に翻弄された畑と百姓に会いに行ってきました。
電車を乗り継いで 京王線堀之内で「キテレツファーム」神田くんと待ち合わせ、早速住宅地に囲まれた大きな空き地のような畑に行きました。
ここは神田くんの祖父が昔桑畑として耕していたところで、「おまえがやるなら使っていいよ」ということで、神田くん(32才)初めての畑です。
実っていたのは丸オクラだけで、とうもろこしもミニトマトもインゲンも立ち枯れています。「どちらにしてももう終わりなんだけれど、この夏はとれなかったなぁ」
次の畑への道すがら自宅と庭先直売所と作業場と小さな畑に寄りました。住宅地の中にある無人直売所は好調で、週末には5~6万円の売上のこともあるというのですからビックリです。街の八百屋(あひるの家)としてはショックです。
そこから15分くらいの小比企は八王子一の耕作地域で、3反歩程の畑がありました。10月中旬~下旬予定のレタス・大根・人参・里芋が葉を茂らしています。
次に向かったのは車で10分位、八王子インターのそばの6反歩程のフラットな畑でした。大家さんの敷地のなかにあり、代々農家だったけれど自分はやらない(高校の先生)ので誰かに使ってもらいたいということで、神田くんが借りているということです(ナント無料!)。
ここには秋冬野菜の殆どが植えつけられ、育ち始めていました。ほうれん草・小松菜・大根・南瓜・わさび菜… 「狩野さん、ちょっと手伝ってもらっていいですか?今とっとかないとみんな食われちゃうんですよ」ということで、手のひらサイズのキャベツとブロッコリーについた5ミリ程の虫をとることになりました。15分位でもうダメ!陽射しは強いし腰は痛いし、ギブアップして栗拾いに行きました。そうそう、この夏の稼ぎ頭の予定だった枝豆は「葉ばかり育って豆は入っいなくてダメだから、畑にすきこむ」と言っていました。
さて昼メシです。「なにかあった時に家族でよく行っていた」というパスタの店『ウッディノート』に。これが旨い!のです。私「貝柱とわさび菜のクリームソース」神田「鶏そぼろときのこのトマトソース」をシェアしながら食べました。
「この夏大変だったろう?」「マックスでしたね。ともかく毎日毎日今日は体がもつんだろうか、とか不安がよぎるんだけれど、畑に出たらやるしかないんでやりましたね」「すごい日々だったけど。灼熱の舞台の上で全力で踊っているみたいで、それはそれで面白かったかな。2回熱中症で倒れたけど」
「農業はみんなそうだろうけど、有機農業は特にこうやったらうまくいくという正解がないんです。そこが面白いんだけど」「有機農業はやっている人が少ないし、個々人がやってるから各々の経験値を寄せ合うことがないので、そんなことを伝え合うネットワークをつくっていけたらと思ってるんです…」
モチベーション高し!「今度もパスタ食おう」ということで駅まで送ってもらいました。
9/27電車とバスを乗り継いで2時間余り、神奈川県愛甲郡愛川町の北原瞬くん祥ちゃんの『けのひ農場』に行って来ました。
庭先で生落花生の水洗いとじゃが芋の泥落としをしている祥ちゃんとスタッフに挨拶をして、早速鶏小屋を覗いてみました。近づくと、餌をもらえると思って47羽の殆どが金網越しに集まってきて「クレ!」「クレ!」と鳴き声をあげる。草をあげると先を争って食べています。「もう5年位になり、1日に2~3個しか卵を産まなくなったので さてどうしたものか考えているんだ」ということです。
トラックに乗って借りている畑16ヶ所を巡りました。2反歩から8畝(反の1/10)1番2番と札がたっています。「1番から6番までの畑は水はけも悪いし日当たりも悪いし、傾斜地もあって野菜がうまく育たないんだけれど、9年前にここに入植した時は紹介されたものを断るなんて立場になかったからなぁ」
どの畑も草が伸びていて、手を入れられていないのが見受けられるのです。
「この夏スタッフも半分になって、その割には販売が好調で、ともかく出荷することに追いまくられていたなぁ。今は燃え尽き症候群みたいな感じだな。間に合わないので秋冬野菜はあまり期待しないでください」と言う夏に5キロ瘦せたという北原くんは、やつれていました。
家に戻り祥ちゃんと一緒にお蕎麦屋さんに行って昼メシです。
「この夏、初めて百姓やめようかと思ったよ。夜8時くらいまで仕事に追われ そこから“せめてゴハンは”と思って急いで作るんだけれど9時過ぎになってしまって、みんな言葉も少なく重い空気が漂う毎日だったなぁ。暑くなる前にと朝は4時頃に起きるんだけれど、そんなの続かないよね。百姓やめれば楽になるのかなぁと思ったよ」 「オレもさぁ 食欲がなくなって、それでも食わなきゃって配達の帰りにスーパーで惣菜を買ってきてみんなで食べるんだけれど、ある日ピザだったんだよ。自分で買ってきたんだけど“ピザかよ”って嫌になっちゃったなぁ」 「子どもたちが植えた生姜も、草刈りが出来なくて子どもたちからはブーイングがでるし、あの時の種代と時間で温泉も行けたし 海にも行けたしと思ったんだよな。もう勝手に草は伸びてたら…と、今は思っているよ」
蕎麦屋を出るときに、お店の人が大きな袋を2つ渡してくれたのです。そばとうどんの切れ端とそば殻が入っていて鶏の餌に混ぜるということです。祥ちゃんは、なすと冬瓜ときゅうりとおくらの入った袋を渡していました。米農家と牛飼いの人たちとも野菜や卵の物々交換をしているとのことでした。
「年内野菜もってあひるに行きますから、2人で!」と約束し固い握手をして、またバスと電車に乗って帰ってきました。
秋の果物がはじまりました。極早生みかん・種無し柿・ぶどう・梨・りんご。野菜は10月中旬ころには安定的に出てくる予定です。
百姓たちの夏は苛烈でした。新米の刈り取りが終わった10月下旬~11月初旬には、栃木県鹿沼の鈴木章さん(米・野菜)、田島さん(里芋・野菜)、高田さん(卵)を訪ねて行こうと思っています。
皆さんの夏はいかがだったでしょうか?

阪井くんからの手紙2022

44年前、あひるの家がまだリヤカー八百屋だったころの仲間で、その後地元富良野に戻り有機農業をはじめた阪井くんから、今年も収穫の秋便りが届きました。
北海道富良野市にある、『富良野百・我(ももんが)』阪井くんの畑は、美しい山々、木々に囲まれた小盆地に広がります。
冬は雪に覆われる一方、夏の気温は日中30℃以上に上がることもある、季節にメリハリのある恵みの大地。昼夜の寒暖差が激しいからこそ、日中太陽の光を浴びて貯えた栄養を損なうことなく、甘みと旨みたっぷりに育ちます。

農業は難しくて、おもしろい

農業は難しくて、おもしろい。未だに試行錯誤の連続です。
百・我の育て方は、太陽・風・雨を味方につけ見守ること。富良野の風土にあった野菜自らが生長できる環境づくりと、活きた土が未来につながる持続可能な農業を目指し、元気いっぱい畑に立っています。

阪井くんの有機たまねぎ

北海道の一般的なたまねぎは、夏の暑さと雨で病気が多く、たくさんの農薬を使用することが多いです。
富良野百・我では、栽培密度を70%程度にして風通しを優先させながら、たまねぎ自身のエネルギーに期待して育てています。その年によって、どうしてもたまねぎの葉によってくるスリップス等の影響で生育が早くとまり、お尻がとがったような変形も多くなる事もありますが、味には影響しません。
百・我のたまねぎ栽培の特徴として、北海道では珍しいマルチ栽培で生育を進め、雑草対策、干ばつ時の乾燥等をカバーしています。色味が濃く、味も甘くて辛いたまねぎです。野菜の味のメリハリは、野菜が持つ免疫力の証です。味の濃いたまねぎをお楽しみください!

阪井くんの有機じゃが芋

ちょっぴり肌が茜色。果肉が黄色でホクホクのじゃが芋「さやあかね」。
粉がふくほどデンプンがのっています。気温の変化と共にデンプンの一部が糖化し、甘くなります。味の変化を楽しんでみてください。
調理時間を調整したり、皮ごと味わうのもオススメ!じゃがいもにとって致命傷となる病気に対し、この「さやあかね」は免疫を持つ品種です。病気に負けない芋自身の元気なパワーを生かし、玉ねぎ同様風通しの良い環境で育てています。

あの頃あんなに若くてかっこよかった(元ボクサー)阪井くんも、もう2人の孫のいるおじいちゃん。息子のソウタも主戦力となっているみたいでうれしい限りですね。
阪井くんからは本日絵本のようにすてきな箱に入った【有機赤玉ねぎ】が届きました。このあとも【有機じゃが芋】【有機玉ねぎ】【有機南瓜】などが北の大地のカレー畑から届きます。