あひるの店先から ―2つの「奇跡」を乗り越えられるか?―

今日(あひる通信発行日※3月20日)から『ちょこっと有機野菜セット・あひる便』が出発します。
喇叭(らっぱ)や太鼓のにぎやかなリズムにのせて、車の後ろにはいくつもの空缶を紐で結びつけてガラガラいわしながら、春の陽射を浴びたあひる号が街にくり出していく、そんなワクワク感でいっぱいです。
ここ数年、ポラン広場グループの八百屋たちが次々と店を閉めたり、関西の流通グループが京阪電鉄に買収されたり、とても親しくさせていただいていた『大地を守る会』が他の大手グループと経営統合したりと、馴染んできた光景が失われ、ポツンと取り残されたような気がする歳月でした。
店を閉じた八百屋の仲間からは、「あひるが経営的に続けていられるのは奇跡のようなものだよ」と言われ、おつき合いのある流通グループからは「今どき百姓とのつながりを第一に考えているお店なんて遺物みたいなもので、生き残っているのは奇跡ですよ」と言われたりもしました。
「奇跡と言われてもなあ」と思いますが、ここ10年以上経営は逼迫しつづけており、繁盛しているオーガニックショップは明るくオシャレで、生産者のポップも見やすくディスプレイされています。「そうか、あひるの賞味期限って切れちゃったのかなあ」と得心したりもするのです。
「でもなあ」「どうしらたいいのかなあ」と、スタッフ一同ミーティングの度に腕を組んだり頭とかかえたりしてきました。
「今売れる物は?」「お客さんがほしいものは?」「利益幅の大きい商品入れる?」「やっぱり、あひるの物って高いから若い人は買わないよね」「宅配もネットもあるしなあ」「それにしても、もう何年も給料上がってないな」「子供も大きくなって、お金がかかるのよね」「建物補修しないとヤバイけど、金ないしなあ」……
単発のイベントは決まっても、「これからどうする?」の方向が見つからないのです。
経営診断士の方に来ていただいてサジェスチョンを受けたり、都心のオーガニックショップツアーに出かけて販売のポイントをさぐってみたりしてきました。
グルグル、グルグル回って辿りついたのは、「売れる物」や「売り方」「見せ方」を考えても、資金力や知恵力に限りがあったり、「なんかリキ入らないなあ」という感じで、「あひるは八百屋なので、野菜でいこう!」「つながりのある百姓の野菜をもっとたくさんの人に食べてもらおう!」という結論に至ったのです。
どう考えても『ちょこっと有機野菜セット・あひる便』が、あひるの経営をちょこっとはあるかもしれないけど、画期的に好転させることはないだろうけど、八百屋として食べてもらいたい野菜を広げていくことはできるのではないかと思うのです。
螺旋階段を登ってきて同じ地点からはじめようと思います。『ちょこっと有機野菜セット・あひる便』のお申込お待ちしています。                                                           (狩野)

2 thoughts on “あひるの店先から ―2つの「奇跡」を乗り越えられるか?―

  1. 岡野玲子

    いつも大変お世話になっております。
    このたびは嬉しい企画をありがとうございます。
    実はずっと定期便があったらいいな〜と思っていたのです。
    新鮮な有機野菜、毎回楽しみにしてますので、よろしくお願いいたします。

    Reply
    1. kano Post author

      岡野さん

      返信遅れまして大変失礼しました
      先週25日からブログ不通だったため今読みました
      第一号の岡野さんに続き続々と(ちょっと大げさ)申し込みがあり、発案者の狩野もホクホク顔です
      今後ともよろしくお願いします

      狩野にかわりあかし

      Reply

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です