6月5日(金)昼お店の2階で休憩していると、スタッフ円ちゃんが上がってきて「なんか高校生みたいな子が野菜持ってきたんで見てくんないかと言ってんだけど」。店に降りていくと、クリクリ坊主でたっぷりと陽に焼けた青年がニコニコしながら起っていました。
どうも八王子で有機農業を一人でやっているということのようです。グリーンの名刺には「奇」のマークがあり、神田賢志の名前の上にはなぜか「蟹」がしるされてありました。「こいつは面白いかもしれないな」と思ったので、2階にあがって話しを聞くことになりました。
「これ、食べてみてください」と渡された赤と黄の人参・ビーツ・4種類のズッキーニは、どれも力が漲っていて、とびきりうまそうです。
神田賢志31才、2年間有機農業の研修生として働き、この春一人で始めたということです。畑は八王子堀之内と小比企の3ヶ所にあり、5反歩を耕しているとのこと。
小学5年生まで親の仕事の都合でアフリカのタンザニアと南アメリカのパラグアイで育ち、その後八王子の祖父の家に移り住み、東京農大在学中に10ヶ国を旅したということです。卒業後、農業雑誌『家の光』の記者として全国の農家に取材に行っている間に、自分で百姓をやりたくなったということでした。
「ところで神田君、百姓なのになんで蟹のマークなの?」
「実は海も大好きで、ダイバーになろうか百姓になろうか迷ったんですよ」
そして6月9日(火)、2ヶ月振りの電車に乗って堀之内に行ってきました。
堀之内の2ヶ所の畑は、祖父が桑畑をやっていたところを借り、トマト・ミニトマト・キュウリ・インゲン・千両ナス・白丸ナスを育てていました。そろそろかな、というところでした。
小比企に向かう途中、神田君の家に寄らせてもらいました。自宅の一角に自分で建てた野菜の無人販売所と作業所があります。「1日2千円から1万円ちょっと位売れるんですよ。特に最近はとくに売れてますよ。出荷している道の駅の販売所でも」
妻と4ヶ月の桧和(ひより)ちゃんも出てきました。中学生の頃の同級生で、都心で外資系の保険会社に勤めていて、今は育児休業中とのこと。
「ところで、百姓をやっていこうなんて思ってたりするの」と尋くと、「今勤めているところがとても居心地のいい職場なので、働いていこうと思ってるの。お手伝いはするけどね。それと収入のこともあるし」と、率直な物言いがとても気持ちの良いものでした。可愛かったし。
小比企は見渡す限り畑や田んぼが拡がっていました。神田君の畑には4種類のキャベツと5種類のズッキーニと枝豆が育っていました。豆の入りのよさそうな枝豆を引っこ抜いてお土産にもらいました。
八王子駅前のデニーズで飯を食べながら、「ヨシ!やろう!」と合意し、さっそく注文を出しました。
「小比企は珍しい農業地域なので、ここでたくさんの仲間をつくって有機農業の発信基地にしたいと思ってる」と、神田君はハンバーグとコロッケをほおばりながら語っていました。キテレツファーム初荷は本日6月12日昼、神田君がトラックで運んできました。
神奈川・北原君ともそうですが、野菜を通じて各々が果たしたい夢に同伴させてもらえるのは、八百屋冥利に尽きるということです。
近いこともあって(車で20~30分)、あひる店頭直売、「畑に行こう!」あひるの学校なども一緒にやっていく予定です。キテレツファームの野菜をよろしくお願いします。
畑だより ―キテレツファームの神田君があひるの家にやってきた!―
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