きゅうりが白くてなにが悪い!神奈川・北原くんの『一期一会の野菜』はじまりました

2月前半、まだコロナ騒ぎが大ごとになっていない頃、神奈川・北原くんとおたがいにほろ酔い気分でFBメッセンジャーでやり取りしていた時に生まれた企画が実現しました。

『一期一会の野菜』

この100年間で野菜の品種の94%が消滅したといいます。
それは「日持ちしない」とか、「サイズが適当でない」とか、「たくさん作れなくて効率が悪い」とか生産者や流通業者、小売店などの様々な理由が原因で作られなくなったのだと思います。
すでに絶滅してしまって種も手に入らないような野菜がほとんどですが、その中でもまだ各地で種が繋がれている野菜もたくさん残っています。
キュウリといったらこの形、ナスといったらこの色、という固定概念を覆すようなちょっと変わった野菜たちを愛でて楽しんでみてください。
これからしばらくの間、季節に一種類ずつ選んでお届けしていきます。育てるのが大変なものもありますが、そこは就農10年目の北原、頑張ります。

『一期一会の野菜』第一弾~2020年夏の陣~神奈川伝統野菜【相模半白節成胡瓜(さがみはんじろふしなりきゅうり)】

上部半分が緑色で、そこから先に向けてグラデーションのように白くなる江戸野菜「馬込半白節成(まごめはんじろふしなり)」を、神奈川で改良・選別されてできた品種です。
ちなみに上の緑色部分が顔、下の白い部分が水中にある身体を連想させることから、昔の市場では「河童」と呼ばれていたそうです。
現在主流の緑色の濃い、白イボでブルーム(白い粉状のもの)のない、いわゆる「サラダきゅうり」と比べると、「黒イボで皮は固め、みずみずしいが水っぽさではなく、歯切れが良い味の濃いきゅうり」と言えます。
昔のきゅうりっぽい苦みを多少感じることがあるので、これも昔ながらの知恵「板ずり(塩を振ってまな板の上でゴロゴロ転がす)」をすると苦みが和らぎます。
今ではほとんどの農家が作らなくなった理由の一つが、やはり病気に弱いということがあるのですが、もう一つ面白い説があります。
1964年の東京オリンピックの頃から食の欧米化が進み、日本の食卓にもサラダが並ぶようになり、色の映える現在のきゅうりが好まれるようになったといいます。
主力品種の交代は、生産者と消費者両方のニーズの結果だったと言えます。

神奈川愛川・有機農業歴10年の北原くんより

ご覧の通り、半分が白く、黒いイボイボが見た目に特徴的なキュウリです。いつものキュウリと比べると皮は若干固めですが、噛むとシャキッとしていて歯切れがよいです。品種特性として「昔ながらの味がする」とありますが、いかんせんその「昔」を知らないため、普通に美味しいキュウリです。
農家的な視点でいうと、耐病性のある最近の品種と違い、病気に弱く、とても枯れやすいです。10年前に一度だけふつうのキュウリとこの半白キュウリを一緒に育てたことがありましたが、台風の翌日にこの半白キュウリだけは病気が発生し、早々と全滅してしまった苦い記憶があります。あるいはしっかり消毒すればよかったのでしょうが、いかんせん無農薬だと難しい品種なのかもしれません。
一期一会の野菜、ぜひ食卓で話題にしてみてください。

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