あひるの店先から ―年の瀬おいしいお届けしますお届けします―

今年もあと1ヶ月余りとなりました。
12月31日、今年も“あひるオリジナルおせち”をお届けすることができそうです。10年やってきた【みんなのおせち(笑月おせち)】をリセットして、全く新しいスタイルでみなさんに紹介することができました。
あひるのあひるらしさと言えば「つながりをかたちにする」ということなので、その集大成(?)を年の瀬にみなさんにお届けできるなんて、あひる冥利に尽きる幸せな気分です。
まずは、『たいやきやゆい』のはじめから10年余りのつき合いの由井君が、お店では出していない甘味6種を、技と気持ちを込めて作ってくれることになりました。予約でいっぱいのお店を閉めて、お正月甘味に力を注ぎます。
まだチラシも出来ていないのに、作れる数(30セット)の半分以上の申し込みが入ってしまっています。「由井君=ゼッタイにいいよね」の絶大な信頼は羨ましい限りです。
続いてお願いしたのは、2年余りのおつき合いになる韓国料理の玉ちゃんです。
毎週キムチは勿論チヂミやキンパなどの惣菜も楽しみにしてくれているお客さんも多く、そしてなによりも体型もふくめたふくよかな人柄は、「玉ちゃん」「玉ちゃん」と皆を魅きつけてやまないのです。
「やってみたかったのよ。韓国のお正月の家庭料理って紹介されることないでしょ。みんなに食べてもらいたかったのよ」
「わたしとしては是非やってみたいけど、お店(玉ちゃんの家)に帰ってスタッフの人たちと相談してみるね」
夕刻、「みんなに話したら大喜びで、バンザイした人もいたよ。年末はお店に泊まりこんでやる!と言ってる人もいたよ」ということで決定。
おせちラインナップを見ると、漁師直送の生かきや真鯛の姿焼きなど特別素材をふんだんに使いボリューム満点(玉ちゃん!採算考えてる?)旨そうなおせちになりました。玉ちゃんをはじめスタッフたちの前のめりな気持ちのこもった韓国家庭料理おせちを食べてみてください。
最後はフレンチシェフ小清水君の和洋おせちです。
由井君の紹介であひるを訪ねてきたのが6月でした。その後すぐ、富士見通りにある小清水君の調理場に行ってみました。1週間後、あひるスタッフ全員が揃っている時、小清水君が11種類の料理を持ってきてくれました。
最初に食べたのが【コーンスープ】で、口にしたとたんあひるスタッフ全員が「これはなんだ!こんなの食べたことがない!」と、驚愕と感嘆の声をあげたのです。
正直、コーンスープを口にする直前まで、あひるスタッフ全員が「フレンチなの?食べたことないよ。レストランにも行ったことないし」と完全に腰が引けていたのです。たった一口のコーンスープがコペルニクス的転回をおこしたのです。あと10種類の料理も、これまで味わったことのないおいしさでした。
サテ、このおいしさをお客さんにどう知ってもらったらいいのか、コペルニクス的転回にまきこまれたばかりのあひるスタッフに伝える力などある訳がないのです。それで、月1回小清水君が直接店頭で販売する事になりました。
24才の時、会社から「フランスへ行って腕をみがいてこい」と命じられ、3週間後に出発したのですが、フランス語は一言も喋れず状態なので生活も仕事も何も出来ず、毎日レストランのシェフからは「日本に帰れ」と言いつづけられ、泣きながら街の中を「1日10の言葉を覚えよう」と歩いたそうです。
仕事の上でも生活の上でもフランス語を喋れるようになったのは2年後で、その後2年計4年居たということです。
帰ってきてからは、都心のホテルやレストランのチーフシェフなどをやって、昨年「自分の住んでいるところでお店をやりたい」と退職・独立したのですが、コロナ禍でお店を開くまでに至っていないということです。
これまで「旨いものをガツンとガッと食べる」ということをしてきたぼくにとって、小清水君の料理の味は未経験のものでした。ガンヴァスに色を重ねるように手間をかけ手間をかけ、出来上がったものはシンプルでプレーンな味わい深いものになるのだということが少しわかったような気がします。この歳になって、こんな経験をさせてもらって得して気分です。新しい年に新しい発見から始められるかもしれません。
3人とのつながりを「おせち」というかたちで表現してみました。
たった10分の圏内の人たちと今年のおせちの企画ができたことを、あひるスタッフ全員が嬉しく思っているのです。皆さんも是非一緒に楽しんでください。

(狩野)

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