畑だより ―いのちを授かる、戴く話しー

今年も2人の若手百姓の畑野の野菜がメインになります。
かといって、2月3月は冬野菜が終了に向かい、春夏野菜はまだまだという端境期(はざかいき)になります。ほうれん草・小松菜・キャベツ・大根・人参・里芋・ネギ位しかなく、これもまた少なくなっていきます。
今は春夏野菜の何を作ろうかの作付計画をたてたり、苗作りをしたり落葉を集めて堆肥作りが主な仕事になっています。
先日、八王子・キテレツファーム神田くんのところに2人目の女の子が産まれました。
名前は夏埜(かや)ちゃん。「埜の字が好きなので付けてみたかったんです。冬なので夏はないんだけど、無理やりですね」と神田くん。お姉ちゃんになった桧和(ひより)ちゃん2才も、妻の沙織ちゃんも元気にしているようです。
電話をかけると桧和ちゃんの元気な声がきこえてきます。「保育園がコロナ休園になって、遊んで遊んでとせがまれて、なかなか畑に出られなくてよわっています」とのこと。
切迫流産のおそれがあって沙織ちゃんが家を離れている間、お母さんの助けを借りつつも家事育児に追われ、夜風呂に浸っているとほぼ眠っている日々だったと言います。
新しいいのちを授かって、ただでさえマンパワーのない神田くんは、どう畑を切りもりしていくのか楽しみな1年です。
次はいのちを戴く体験・経験をした神奈川愛川町・けのひ農場の北原瞬くん祥ちゃんの話しです。
50羽の鶏を飼いはじめて1年半、「子供たちに生き物を育てる経験をさせたい」「畑の野菜を鶏に食べさせ、鶏フンを堆肥にして畑に敷き込む循環農業をやりたい」と生後5日目のヒナから飼いはじめ、はじめの頃は子供たちは寝袋を鶏舎に持ちこんで寝泊まりしていたそうです。
「2年後位だけど、卵を産まなくなった鶏たちはそうしようかね」と話すこともあって、“いのちを戴くセミナー”に2人で参加することになったのです。
農家の庭先には20名程が集まっていて、鶏が走り回っています。その中の1羽をつかまえてきて、首をギュッとひねるとグキッと骨の折れる音がして、地面におろすと首をグラグラさせながら走り回っているのです。
それから首を切って逆さにつるして血抜きをします。タライにお湯をはってえ、羽根をもぎとり、マナイタにのせて解体がはじまるのです。
「さあ、皆さんやってみてください」と言われ、つかまえた鶏と眼を合せないようにしてエイヤァ!と首をひねった時、腹の底から揺れるような胴ぶるいがおきて立っていられない位ヘナヘナとなってきて、隣にいた祥ちゃんの顔色は血の気が引いて真っ白だったそうです。
解体に入りはじめたとたん、あらわれてくる肉を見て「ウマソー」と思ったそうです。“生き物→食べ物”に自分の感覚が転換したということなのだろう、と北原くんは言います。部位に切り分けた肉を家族で食べたら、少し硬かったけど旨かったそうです。
その後、ケンタッキーのフライドチキンを食べる機会があったのだけど、40~50日の若鶏の肉はやわらかいけど、ブヨブヨして気持ち悪かったそうです。
「2年後位だけど、おれんとこでもそんなセミナーを子供も含めてやりたいと思ってるんです。今でも、鶏たちのあったかさや骨の折れる音や自分の手のふるえは思い出すなあ。スゴイ体験だったなあ」と北原くんは語っていました。
果物は豊富です。
この冬は寒さが厳しいせいか、どの果物も糖度がましてとてもおいしくなっています。
柑橘類は、みかん・ポンカン・不知火(デコポン)・伊予柑・甘夏で、もう少しすると南伊豆の山本剛さんから、待っている人も多い黄金柑が出ます。
りんご(王林・ふじ)・いちご・キウイフルーツも甘さがましています。
野菜は淋しくなっていきます。
沖縄・鹿児島など南の方からトマト・ミニトマト・インゲン・スナップエンドウ・ピーマン・菜花などが始まっていますが、少量です。どうやって野菜の棚を埋めようかの悩ましい季節です。
今年の冬はことさら寒いです。体調に気をつけて乗り切りましょう。

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