39年前、まだ始まったばかりのあひるの家で半年間リヤカー八百屋をやっていて、あひる通信『あひるの家の冒険物語』にもたびたび登場している、北海道富良野麓郷(ろくごう)の阪井くんから、生産者便りが届きました。
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ももんが便り2017
ここは北海道のへそ呼ばれる富良野盆地の少し曲がった山の中。森に囲まれた富良野の麓郷。鹿、キツネ、タヌキ、ヤマバト、カラス、リス、モモンガ、時には熊などなど。
彼らに目を光らせ、たまには目を細め、野菜達の生長を見守っています。
昨年は50年に一度と言われる台風、大雨が続き大変な一年でしたが、帳尻合わせのように今年の7月の上旬までは穏やかな天候に恵まれた日々が続きました。
適度な雨量も7月8月の高温により、野菜の肥大期には水分不足の干ばつになってしまいました。
自然は、なかなか人間の都合通りには、いかないものですね。
甲斐信枝さんの『きゃべつばたけのぴょっこり』(福音館書店)という絵本の中に
午前五時、山の端から幾条もの朝の光が矢のように空を走る。
きゃべつの葉先の夜露の玉が、虹色の宝石のようにきらめく。
甲斐さんの感性はとてもすてきです。甲斐さん流に言う“お宝”は農の中にもいっぱい。
雪の中のハウス、耕した土が白煙のごとく、蒸気が舞い上がり大地の目覚めを感じた時…
朝もやの中、玉葱畑に張りめぐるクモの糸が朝陽の中で水滴を集めた絹のじゅうたんに見えた時… etc.
その瞬間が“ワクワク”するのです。農業もなかなかすてきな商売です。
Uターン6年目の息子にも昨年子どもが産まれました。そんなことを感じはじめているようです。私は孫を見ながら目を細めています。
そんな北の大地の生活を想像しながら、おいしく育った野菜達を食べていただけたら幸いです。
2017 39回目の感謝の秋
富良野 百・我(ももんが) 阪井永典
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元ボクサーにして元あひるスタッフ、有機百姓歴39年の阪井くんは北の大地の詩人でもありました。
阪井くんの【じゃが芋】【玉ねぎ】【南瓜】の直送便がさっそく届いています。
来年2月に東京に来るときは、また一緒に飲みましょう!