寒さがまして霜も降りて、収穫できる作物も少なくなって、村の景色も枯れ色に染まってきています。
まもなく“端境期”に突入です。4月の春野菜の出荷まで3ヶ月余り、お百姓との日々のおつき合いが途絶えます。
1年中チマチマと休むことなく働いている八百屋から見ると、ロングロング冬休み+春休み、お百姓たちは何をしているのか気に掛かります。
どうせ朝から酒飲んで、温泉行ってお湯につかり昼寝をしこたまして、時々気が向いた時畑に行って取り残した腐ったキャベツや大根をけとばしたりして……
ということで、年末野菜をお世話になった栃木鹿沼の田島君にきいてみました。
年を追うごとに百姓をやめる人がふえて、その度「田島のところでうちの畑やってくんねえかな」と依頼され、「村の畑を荒らしているわけにもいかねえよな」と引き受けているようです。
だから農業機械がふえて、土の上よりトラクターに座っている方が多い日もあるそうです。
「年末ガンバッタから、畑には里芋以外なにもなくなったよ。ほっと一息です。それまで収穫・出荷に追われて、4時宅急便屋さんが来るまでにほうれん草を100、小松菜を200、三浦大根を100畑に行って収穫して、15種類位やったからなあ。箱に詰めて伝票書いて……、全て集荷時間から逆算していくんですよ。これって街時間だよね」
「今は出荷がないし、野菜も急に育たないんで、ゆっくり起きてサテ今日は何しようかなと飯を食いながら考えるんです」
「昨日は近くの林にいって、背負いカゴに落葉をあつめ、4時間位やって山になったので、河原でおむすびを食べながら木の枝に糸をつけて魚釣りをやって、眠くなったんで落葉の中にもぐりこんで空をみていたら鳥がとんでて、眠くなって……、そんな一日でした」
「これを田舎時間、畑時間というのかな。百姓はいいなあとしみじみ思うんですよ。春からまた街時間に追いまくられるんだろうけど、この期間があるから百姓をつづけられるんだと思うんです」
と、田島君は語ってくれました。端境期は生産者がお百姓に戻れる時間なのかもしれませんね。
サテ、寒さは野菜・果物をおいしくしてくれています。葉野菜は自ら糖度をあげて寒さから身を守っています。だから甘くて味わい深くなるのです。
新しく登場しているのは、ふきのとう・ちぢみほうれん草・絹さやえんどう・沖縄宮古島のきゅうり・デコポン・はっさく、もう少しすると黄金柑つつづきます。
1年が始まりました。街時間と田舎時間の2つを楽しめる年でありたいと思います。
畑だより ―田舎時間でのんびりと―
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