“漂えど沈まず”
眠る前、30分位本を読みます。
読む本がなかったので、積んである中から一冊を取り出しパラパラ読んでいたら、このフレーズに出会いました。
「ウ~ン」とうなり、すっかり覚醒していまい、読み耽ってしまいました。
思い返すとこの1年、ポラン広場の仲間たちが次々と廃業したり、業態を変えたりした歳月でした。
中でも、沖縄~北海道までのポラン広場ネットワークづくりを20年に亘りともに担ってきたSさんの会社が、関西の大手鉄道会社に吸収合併されました。
「オ~イ、元気か?どないしとる?」と、別段用事もないのに電話をかけられる仲間がいなくなり、“あひるの家だけでやっている”ような寂寥感いっぱいの時もありました。
でも、しばらくして、廃業した者たちも形態を変えつつこの仕事を継続し、顔を見せてくれるようになり、関西のSさんも新しい会社でも我が物顔で活躍している様子を人伝に聞くようになりました。
「しぶといなあ」と笑みがこぼれました。
二枚腰、三枚腰のしぶとさは、30年余りのお百姓たちとのつき合いで養われたものだと思います。
いずれにしても、この仕事が大きな転換点にきていることは確かなことです。
かつて、大企業がオーガニック市場に参入しはじめた頃、Sさんと「おれたち横綱の太刀持ちみたいになるのかなあ。花道の先頭をいきながら土俵に上がるのは横綱みたいな」と笑いあったものでしたが、それが現実となってきた訳です。
サテ、そんな中あひるの家はどうしたらいいのだろうと思うのですが、あれをしてもこれをしても、脆弱な経営基盤を強固にできそうにありません。
思考は元に戻り、“あひるの家は何がしたいの”ということになります。
あひるの家は間違えなく、人 → 物 → 金 の順番で仕事をしているのだと思います。
今年も生産者や製造者が来てくれて、店頭でパフォーマンスをしてくれた回数は30~40回になります。お客さんも楽しんでくれ、あひるのスタッフも活気づき、何より来てくれた生産・製造者の皆が、「あひるのお客さんはいいよね。おれたちを仲間みたいに思ってくれるんだもの。また次も楽しみにしてる」と、大喜びで帰っていくのです。
2015年、“人のつながり”を環に更にバージョンアップしたパフォーマンスを、皆さんとともに楽しんでいけたらと思っています。
1年間本当にありがとうございました。 (狩野)
いろんな出会いと別れがあります。
子供の頃は入学やクラス替えなどが“出会い”の一大事でした。それはもうドキドキして、前の日の夜はなかなか寝付けなかったものでした。
同じく“別れ”も学校が舞台。友達の転校、自身の卒業、そしてまたまたクラス替え。
卒業式で特に感極まったのは、意外や意外、小学校の卒業式でした。たぶん、すごく良い先生と友達に恵まれていたのでしょう。今では遠い記憶の彼方、ですが。
大人になってからの大きな“出会い”は、やはり仕事関係での出会いです。少なからず影響を受け、尊敬とまでは言いませんが、「あの人かっこいいな」と密かに思っていた人物が何人かいます(片手で足りるくらいですが)。
過去何度か職を変え、今現在はあひるの家で働いているのですが、職種は変わってもその人物から得たものは、今もぼくの土台となっています。
あひるの家で働いて、もう11年になります。すっかり生活の中心があひるの家になってしまいました。
朝8時半に店に行き、一日平均80人来られるお客さんと会い、配達に出れば店には来られないお客さんとも顔を合せます。
その一つ一つが“出会い”だと気づいたのは、実はつい最近のことです。“別れ”があったことで気づきました。
今年、何人かのお客さんと“お別れ”しました。泣きました。
その方の笑顔と笑い声を思い返し、もうあひるに来られることはないんだと、自分の心に落とし込んだ瞬間に涙がこぼれました。
11年間のあひるでの日常で、数えきれない人と“出会い”、その人たちの笑顔と笑い声に触れ、そのことがぼく自身の生活に大いに影響しているのだな、そう気づきました。
今年も若いお客さんが何人も、「新しい家族」を連れてあひるにやって来てくれました。なんてうれしい“出会い”でしょう。
今年も1年あひるの家に来ていただいてありがとうございました。
来年もあひるの家で“笑って”お買い物をしてください。よいお年を。 (あかし)