前回、5月28日~29日に催した福島ツアーの“海編”をお知らせしたので、今回は“山編”です。
“海編”では、魚の出荷前検査場の青年職員中野君の、「福島の魚は検査してるんだから、買って食べてほしいですよね。どうすればいいんですかね」という困惑気味の顔と、その後行った薄磯地区の語り部大谷さんの、震災前後1時間余りに体験したことのすさまじさは、これまで聞くことのできない話しでした。
解散地点に向かう帰路のバスの中で、この日大変熱心にガイドしてくれた四家さん(復興支援観光センター)の、「これだけはきいてほしい」という気持ちが伝わる話も印象深いものでした。
道の両側にプレハブの仮設住宅や新築4階建ての復興支援住宅がズラーッと並び、ところどころに戸建て住宅が点在しています。
「左側の住宅エリアは東電関連の住宅で、右側が市と県が管理する住宅です。富岡町、浪江町など原発事故で避難してきているのが東電住宅で、地震・津波で避難してきた人は市・県の住宅に住んでいます」
「地震・津波・原発事故の被災は分けられるものではないのですが、東電が、市・県がそう認定したということにすぎません。ここも問題です」
「更に問題なのは、東電関連の住宅費は無料で、市・県住宅は有料です。更に、東電からは月1人10万円の賠償金が払われ、市・県の側には一部支援はあっても、基本的にありません」
ここからヒートアップしていきます。
「いわき市は今や日本一の地価高騰のエリアになっています。物価も高騰しています。7000万円もする住宅をキャッシュで買った。スナックで札ビラを切って豪遊している。パチンコ屋は昼から超満員。そんな話しばかりがきこえてきて、治安も悪くなってきています」
「学校の保護者会、町内会など街の隅々で、避難住民と在のいわき住民の軋轢が起こっています」
「在のいわき住民の多くは、東電関連の避難者はいわきから出ていってほしいと思っているんじゃないですか。表だっては言わないけど」
ウ~ン、オッサンそこまで言うのかよ、と思いましたが。
前回のバスツアーのガイドをしてくれた富岡町の田中さん(在いわき市)の、「私達は被害者なのだけど、加害者ともみられていることをいつも腹にすえておきたい」という言葉を思い出しました。
四家さんの話しは、イラク・シリアの難民に対するヨーロッパ各国での対応と同じだと思いました。
「被災地福島」は5年が経ち「帰れないのに帰れ」の圧力が強まったり、「自主避難者」への支援(賠償)が打ち切られたり、子供たちの甲状腺がんのおそれが拡大したりと、複雑な様相を呈してきています。
当事者ではない私にとって、サテ、サテ、サテ…と思うところです。
したいことでもあり、できることは、「福島で生きる」人たちとつながりつづけていくことだと思っています。
この後温泉に立ち寄って“山”に向ったのですが、今号はここまで。“バス編”でした。
9月下旬に国立で、福島関連の映画上映会と、作って食べる食事会をやります。
最後に、私が関わっている会の会員募集です。
『福島とつながる種まきネットワークプロジェクト』
福島とつながるイベント・ツアーを行っています。情報・通信費として年3000円の会員会費が必要です。会員になってください。