畑だより ―魔物がきたりて笛を吹く?2022年夏―

神奈川愛甲郡愛川町けのひ農場の北原くん祥ちゃんのこの夏の出来事です。
・夏野菜の収穫がいよいよ始まる6月中旬、メインのスタッフの家族がコロナに感染し、その後当人も陽性になり1ヶ月余りの離脱。
・6月下旬の酷暑で、もう一人のスタッフが農作業中熱中症になり倒れる。手がないことで無理をさせてしまったのかと申し訳ない気持ちでいっぱい。涼しくなるまでお休み。
・秋冬野菜のための土づくり・種播きに入る頃なのだけど、春~初夏に出荷した畑の片付けができていないのでそれもできず、朝晩に育つ野菜の収穫に追われ、生姜は草に埋もれ、どこにあるかわからない状態。
・国立の『おへそキッチン(シェアキッチン)』を借りて、例年ケチャップ・バジルソース・しそジュースを作っていたのだけど、野菜はあるのだけど行く時間がとれないのでパスだなぁ。
・50羽程飼っている鶏たちも暑さで産卵率がおち、それはいいのだけど、餌やり水やりはしているのだけど、声をかけたり手をかけたりしてあげられないので、毛艶も悪くケンカもたえず、申し訳ない気がするのだけど、横目で見ているだけ。
・鶏たちもそうだけど、子供たち(3人)にも気を掛けられず、午後から夕方まで海へ連れていっただけで、食事も配達の途中にスーパーに寄って、唐揚げなど惣菜を買ってきてすませる回数もふえている。子供たちも鶏たちも、相当にストレスをためているようだ。
・この夏、北原くんは海に行った半日、祥ちゃん(妻)は休みなし。夜明け~夜9時位まで働いて2ヶ月余りになる。出来ていないことばかりふえてきて、精神的にも体力的にも「ギリギリだなぁ」とボヤキながら、目の前のことをうっちゃっている日々。
・そうだなぁ、唯一の励みは生落花生・ナス・キュウリ・サンマルツァーノトマト・オクラなどが元気に育っていることかなぁ。
・まるで魔物に取り憑かれたような夏だけど、負のスパイラルととらえないようにしている。
・百姓をはじめて10年、これからの課題をつきつけられているということなのだけど、ともかくこの暑さがおさまってほしい。それからだ。
そんな北原くんのところの状況を、百姓歴45年の栃木・鈴木章さんに話したら、「オレも30才~40才位の時はムチャクチャ働いたなぁ。懐かしいよ。そこから自分の身の丈の仕事の仕方や量がわかってくるんだよな」とのコメントでした。
そういう章さん(75才)は、今もほぼ一人で牛を飼い、麦や米を作り、野菜を育てているのだから、「身の丈」というのはスゴイ!ことだと思うのです。
東京八王子のキテレツファーム神田くんは、この夏もほぼ一人で4箇所の畑を夜明け前から駆けずり回って、2回熱中症で病院に駆け込み、数日衰弱して寝込み、また復活する夏でした。
昨夏に続いて枝豆・トウモロコシ・キュウリ・ビーツなど思うように収穫できず、放置してしまった畑もあったようです。
元々一人なので「身の丈」しか出来ないのですが、30才代前半ということもあって、体力と気力の限界など倒れてみてわかるということなのでしょうか。ご自愛を。
豪雨が降り続いている青森弘前のりんご農家伊藤さんの所は、少し高いところにりんご畑があったせいか、坂下にあったりんご園は冠水して、りんごも落ちてしまったということです。
「今年の収穫はダメかと覚悟したのだけど、ほんと2~3mの高低差が明暗を分けたんだなぁ。あとは台風だな。りんごはおいしく実ってます」
畑は秋の端境期に入ります。夏野菜が終わりに向かい、秋冬野菜はまだまだという時期です。
新しく始まっているのが北海道のトマト・大根(空を飛んでくるので高いです)、1000m位高原のキャベツ・レタス・サニーレタス・葉物類です。9月から北海道の南瓜・人参・玉ねぎ・じゃが芋がはじまります。
果物は西瓜・メロン・桃が終了に向かい、幸水・豊水・二十世紀の梨、ぶどう各種りんご各種にシフトしていきます。夏の暑さと日照りで、果物はどれも甘くておいしいです。
サテ、この暑さいつまで続くのか、体力は持つのか不安なところですが、せめておいしい物を食べて寝て、乗り切っていきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です