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畑だより ―栃木鹿沼から章さんがやってくる!―

7月13日(土)章さんの野菜・お米全品10%OFFSALE!

南瓜(絶品!)・ツルムラサキ・モロヘイヤ・キュウリ・インゲン・キャベツ・セロリ・ネギ・米……

「1年に1回はあひるに顔を出さなくちゃなあ」と電車を乗り継いでやってきます。
店頭に立つと、普段あんまり人と出会うことがないせいかテンションが上がっちゃって「ヨシ!あひるがお世話になってるお礼だ!今日はおれの野菜全部ただダ!」などと大声をあげてお客さんを喜ばせてくれるのですが、お店にとっては営業妨害してんじゃねえよと思いますが、1年に1回(電話では5日に1回位)会うのが楽しみなのです。
章さんとつき合いはじめて40年になります。マツさん(妻)と2人で牛を飼い、米と麦を育て野菜を作る自給型循環農業を営んでいます。「半分あきらめて、半分で一生懸命やる」という農業姿勢は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ風ニモマケズ……」を体現しているかのようです。
当日何か百姓らしいお土産をプレゼントしてくれるそうですから、もらいがてら章さんの深く刻まれたシワいっぱいの笑顔に会いに来てください。
果物です。
青森弘前・伊藤さんから、安くておいしいサクランボ、つづいてブルーベリーが始まりました。りんご農家が楽しみで作った果物なので、安いです。間もなく伊藤さんからりんごのお礼ということで、秋田フキ(1mくらいある、やわらかい)が届きます。届いた時いらしたお客さんにプレゼントします。
一番果のシャリシャリ甘い小玉西瓜が千葉から、ブルーベリーが栃木・浜田さん、ビワが和歌山・内芝さんと奈良・王隠堂さん、メロンが長崎有研、バナナ・キウイフルーツ・甘夏・河内晩柑は味が濃くておいしいです。
野菜です。
梅干用梅はあと一週間で終了、らっきょうは2週間位続きます。ただし、雨が降ると畑で掘り出せないので欠品となります。
トウモロコシ・グリーンアスパラ・ズッキーニ・ゴーヤー・南瓜・キュウリ・ピーマン・赤ピーマン・セロリ・レタス・サニーレタス・キャベツ・大根・バジル……。ほうれん草・小松菜は減少し、ツルムラサキ・モロヘイヤなどが葉野菜になっていきます。
そして何よりも、栃木鹿沼・田島さんからとまと(麗夏)がはじまりました。甘酸っぱくて実が詰まったおいしいとまとで、1ヶ月位続きます。安いです!
なにかとうっとうしくてへこたれそうですが、食べて、また食べて乗り切りましょう。

畑だより ―もう真夏といっていい暑さがつづいて……畑も人も―

薫風なんてことは一度もなく、ただ暑い暑いの5月でした。
初夏の野菜といえば豆・サヤが出回りおいしい季節です。空豆・スナップエンドウ・絹さやえんどう・インゲン・枝豆とラインナップが揃いました。
ただ、あまりの暑さでサヤはどんどん大きくなり、豆はどんどん硬くなっていきます。だから、あっちこっちのお百姓さんからSOSのコールがきています。誰からもらったらいいのか悩ましいものがあります。
つい、「いいよ!」と言ってしまって、店の保冷庫は満杯状態になりつつあります。お百姓さんからの電話におびえている昨今です。
そうは言っても出荷適期はどこも2週間余り、見栄をはるしかありません!そこで皆さん!豆・サヤ類をよろしくお願いします。
いよいよ夏本番に向かおうとしている野菜は、トマト・ミニトマト・きゅうり・ピーマン・パプリカ・オクラ・シシトウ・グリーンアスパラ・にがうり・ズッキーニ・ベビーコーン……、果物はビワ・キウイフルーツ・小玉西瓜・マダーボール西瓜・ブルーベリーが始まりました。
終了、或いは終了に向かっているのが、りんご・いちごが終了、甘夏・グレープフルーツ・河内晩柑・レモンなど柑橘類がそろそろです。
神奈川・北原君からはミサキキャベツ・カリフラワー・葉付人参・スナップエンドウ・小かぶ・玉ねぎ・バジルが入荷中。ミサキキャベツが生だとシャキシャキしてうまいです。
栃木・鈴木章さんからはセロリ・キャベツ・いんげん・ブロッコリー・長ネギ・カリフラワーが入荷。豆・サヤ類は急激な雨と暑さで枯れています。
これから産地の大半が関東に移行してくるので、豊富で鮮度もよく、おまけに運送費が少なくなるので安くなります。いいことずくめです。
ただし、雨・風・暑さが穏やかな状態であることが条件です。でも、ここ数年1度もないんだよなあ。今夏は天にお願いしましょう。
「ちゃんとやるから、ごほうびくれよ!」

【有機青梅】ご予約承り中

あひるの家販売ランキングbest3にいつもランキングしているのが、王隠堂さんの【有機梅干】です。「この梅干おいしいのよね」と、まとめて買っていかれる方が何人もいます。たしかに塩もいいし、しそもいっぱい入っているけど、やっぱり梅が旨いんだと思います。
奈良・西吉野の山中、標高400mのところにある王隠堂さんの梅林の土は、ふっかふかであったかそうです。それと、王隠堂さんの家はその名の通り、南北朝時代後醍醐天皇をかくまったことで名字帯刀を許された由緒ある家系で、その頃から梅を栽培していたそうですから、もう歴史的産物ということになります。歴史と時代が合体した産物が、王隠堂さんの梅です。
子供が大好きな梅ジュース・梅シロップ漬けは、作るのカンタン、1ヶ月位から飲めるので、この夏中楽しめます。大人が大好きな梅酒も作るのカンタンというか、ただ焼酎と梅を合わせるだけみたいなもんです。3ヶ月位でおいしくいただけます。
誰もが顔をしかめながら、それでも1年中食べている梅干は、ちょっと手間がかかりますが、その分自家製梅干は旨いです。夏を越えた頃から食べ頃になります。
近日中に漬け方レシピ配布開始。「な~んだ、これならわたしにもできる」と思った人、ご注文ください。期間はわずか2週間、1kgからやってみよう。

【青梅(梅酒・梅シロップ用)】 1kg 1,300円 入荷期間:6/3(月)~6/15(土)

【青梅(梅干用)】 1kg         1,300円 入荷期間:6/17(月)~6/29(土)

ともに奈良・王隠堂農園からで、栽培状況は認証有機農産物。

※お渡し希望日の1週間前までにご注文ください

5月26日(日)神奈川愛川町から北原くんがやってくる!

神奈川愛川町から北原くんがやってくる!

5月26日(日)おいしいとれたて野菜大特価直売会やります!

百姓になって9回目の春です

あひる店頭でとれたて野菜を販売します

春キャベツ・春大根・カリフラワー・リーフレタス・小松菜・チンゲン菜・小かぶ・スナップエンドウ・玉ねぎ……その時畑にある野菜!

八王子で3年、愛川町に引っ越して6年目になります。年間通して順調だったという年は、結局1回もありませんでした。台風が3回きたり、長雨・日照りが続いたり、その度「どうなっちゃうんだろうか?」と立往生の繰り返しでした。
あひるの狩野さんからその度電話をもらって、「どんな具合だ?百姓やっぱりやめるかい?」ときかれるのですが、不思議なことに1度も「やめよう!」と思ったことはなく、狩野さんの期待を裏切りつづけています。
どうも、ぼくも妻の祥子も知力・体力・気力(財力はないけど)をフル活動して、日々をうっちゃっていく暮らし方が性に合っているということかもしれません。
県の認定農業者にもなったので、いろいろな補助金・融資金を受けられる資格ができましたけど、今のところ無借金・無貯金でやってきています。人を雇って規模拡大に向かうのか、今のままの家族経営でいくのか、選択する時期にきているようです。
たくさん持っていくので、おいでください。

畑だより ―冬から春へ、そして夏へ―

沖縄などの南の島々にたよっていた春野菜が、いよいよ関東平野に移ってきました。「空飛ぶトマト・キュウリ」とかかっていた輸送費が大幅に少なくなることで価格も下がり、品揃えも量もふえてきます。
5月26日店頭販売をやる神奈川・北原君の畑では、イベント情報にあるように充実してきました。
栃木鹿沼の鈴木章さんからは、ブロッコリー・カリフラワー・絹さやえんどう・スナップエンドウ・パクチー・小松菜・チンゲン菜・小かぶ、5月下旬からグリーンピースとつづきます。
70才になった章さん夫婦は牛も飼って、米も麦も作って、そして野菜も……と、どんだけパワフルに働いてんだろうと励みになります。
空豆は千葉からと、いよいよ豆・サヤの季節です。
なかなか悩ましいのが、皆同時期で同じ種類の野菜が育ち、それも2~3週間で終わってしまうので、誰から注文したらいいのか困ることです。
トマト・キュウリ・ピーマンなど夏野菜は、まだ九州・沖縄にお願いしています。
果物は、いちごが5月20日位、りんごが5月下旬に終了します。柑橘類(甘夏・夏みかん・黄金柑・河内晩柑・グレープフルーツ)は終了に向かっています。メロン・びわ・サクランボはまだまだなので、果物が少ない時期になります。
有機青梅の入荷日が確定しました。梅酒・梅ジュース用が6月3日から2週間。梅干用が6月17日から2週間。400年続く奈良西吉野・王隠堂さんの畑からです。ご注文受付を開始します。
10連休も終わって、日々の暮らしをゆっくり過ごしましょう。

畑だより ―ハーブスマンと土に戯れる春です―

「香りも味も良くて、品を感じる」と評判なのが、ハーブスマンのドライハーブ(バジル・オレガノ・アイリーミント・草花茶・紫蘇べに茶……)の数々です。
春になったので、ハーブスマンの野菜とハーブの苗がはじまります。
4月8日(月)から5月まで順次入荷してきます。ケール・ミニトマト・青じそ・パクチー・ジャーマンカモミール・スイートバジル・ピーマン・とうがらし・なす・タイム・ペパーミント・レモンバーム・セイジといったラインナップです。畑で育った順番に出てきます。入荷予定表をお渡ししますので、ご注文ください。
ところで、ハーブスマンってどこの誰なのよ?どうしてハーブスマンって名のってんの?ということですが、、、
ハーブスマンは福山君という名で、畑は茨城にあって、住んでいるのは千葉の市川です。
20年程前、ポランの八百屋さんで数年働いていて、ドレッドヘアのボブマーレー(レゲエの神様)の信奉者でした。それから、インドの放浪の旅に出たのでした。
田舎の村を歩いている時、体調が急変して行き倒れてしまったのです。気がつくと農家の土間に寝ていたのです。体調が回復するまで1週間お世話になったのです。
その間、その家の人は草花のお茶や料理を出してくれ(医者や薬屋というものがなかったのです)、苦かったり甘かったり香りが良かったり、食べたり飲んだりしているうちに体に力が漲ってくるのが感じられたのです。
「これは何?」とボディランゲージをまじえて尋くと、手を引いて家の裏の草原に連れていってくれ、一つ一つの草や花を指して頭やお腹や目を手のひらでこするのです。
「ああ、この草がお腹が痛いときにきくのか」とわかりました。
それからも旅を続けたのですが、「日本に帰ったらハーブ作りをやろう」と心に決めたのです。
それが、ぼくがハーブスマンと名のりはじめた体験でした。いつも、あのぼくの命を甦らせてくれた村人とハーブのことを思い出しながら育てています。
と、ハーブスマン福山君からのメッセージです。
温かさもあって、春の野菜が前倒しで育っています。
葉っぱも瑞々しい春大根・菜の花・のらぼう・紅菜苔・春キャベツ、春~夏シフトが本格化してきた南の島々からトマト・キュウリ・ミニトマト・ピーマン・パプリカ・ズッキーニ・にがうり・プチ空豆とにぎやかなラインナップが揃いはじめています。
蓮根・白菜・里芋が終了に向かっています。
果物は柑橘類が豊富で、期待の黄金柑がついに出ました。出始めなのでまだ酸味が残りますが、味が濃いです。ただ、南伊豆の山の中腹に山本剛さんの園地はあるので、ヒヨドリと野猿のベストディナーになっているようで、出荷量は少ないです。
グレープフルーツ・河内晩柑・タンカンは鹿児島・屋久島から、甘夏は熊本から届いています。
天気がいいのでイチゴもおいしいです。
いよいよ春になりました。体を動かして、おいしいものを食べましょう。

畑だより ―気分はもう春です!―

「田舎時間をのんびりとPART2」北原ファミリーはどう過ごしていたのでしょうか?
年が明けて2ヶ月余り、人参とさつま芋しか出荷野菜がないので、堆肥づくりや畑の土を掘り起こして空気を入れたり、農機具を磨いたり、使わなくなった納屋の解体したり、なかなか出来なかったパンを焼いたり、畑におむすびをもって子供たちと“畑めぐりツアー!北原クンちの畑はどれでしょう?あたるとプレゼントがもらえます!”で盛りあがったり……。
あと半月もすれば、田舎時間から街時間にスイッチが切り替わり、時間とのせめぎ合いがはじまります。7年目の春です。
3月の中旬から、かぶ・ほうれん草・小松菜・菜花・のらぼう菜・キャベツ・大根……がイッキにきそうです。
「借りている畑が大小14箇所もあって、どこに何を播いたかも忘れる程だし、陽当り・水はけ・風の通りも違うので生育がまちまちだし……」「あったかくならないと育たないし、あったか過ぎると育ちすぎるし、ひとつひとつ穫るタイミングもちがうし、あ~あ、いよいよはじまるのかよって気分ですね。あひるさんにドンドン送るので、たくさん買ってたくさん食べてください。今年もよろしく」と、北原瞬君・祥ちゃんからのメッセージです。
沖縄では春夏シフトの野菜が本格的にはじまっています。きゅうり・トマト・ミニトマト・いんげん・プチ空豆(トーマーミー)・ピーマン・パプリカ・にがうり・島らっきょう・セロリ・新じゃが芋・新玉ねぎ・南瓜……もう夏ですね。カラフルな色合いの野菜が、店内を華やかにしてくれます。
先日の県民投票の報道を見ていて、「殺し合う軍事基地の拡張じゃなくて、生かし合う畑を広げろ!沖縄のことなんだから沖縄の人が決めるのが当たり前だろ。ニッポンやめちゃえ」と思ったものでした。
今年は暖かったせいで春野菜の生育が早く前倒しででてきそうなので、「端境期」をほとんど感じずつながったようです。
果物は柑橘類が豊富です。甘夏・デコポン・河内晩柑・タンカン・黄金柑(まだだけど)とビタミンCたっぷりで、寒さで疲れた体を回復してくれます。
花粉症の人にはとっても申し訳ないのですが、気持ちも体もウキウキする春です。

畑だより ―冬だっていうのに南の島々はもう夏気分だって?!

冬の寒さで身も心もすっかり閉じ込められている気分のこの季節、「朝起きて“お~お寒ぶ”と腕をこすりあげるのは年に2~3回かな」「エーッ!ストーブやコタツなんかないよ」とのたまうのは、沖縄・奄美の島々の人たちです。
だから、育つ野菜も春夏シフトに移行してきました。
新玉ねぎ・新じゃが芋・ケール・きゅうり・トマト・ミニトマト・ピーマン・パプリカ・いんげん・プチ空豆・島らっきょう・タンカンなどがはじまっています。沖縄本島・宮古島・石垣島・久米島・奄美大島からの出荷です。
さえぎるもののない陽射しと、清澄な海風と穢れのない土に育てられた野菜・果物はこの上なく美味です。
沖縄のお百姓さんとの出会いは25年程前になります。当時ポラン広場グループのネットワーク担当のぼくと農産担当の今井さんと2人で、四島を一週間かけて巡りました。
「10月、まだ泳げるゾ」とバッグの底に水着をおしこんで出発です。
那覇で宅配をやっていた大森君が、各島の会場と、“有機農業”に関心があったり既にはじめているお百姓に声をかけてくれていました。
熱い熱い出会いと、狂喜乱舞の夜が続きました。ボルテージの高さは沖縄の百姓たちが100倍以上上回っていました。
島には1~3人位有機農業をやっている百姓がいました。でも、“出荷先”がないのです。島内は勿論、本土の有機野菜取り扱い団体も、コストパフォーマンス(荷がまとまらない・輸送が難しい)の点でためらっていました。
そんな中、「おれたちの気持ちをわかってくれるかもしれない奴が来た」と大歓迎をうけたのです。
ポラン広場は大きくない流通グループですから、1人とか2人とのつき合いが丁度よかったのと、沖縄とやってみたかったのです。
宮古島の百姓は出発のアナウンスがあるまで“機内”に入ってきて、両手を握りしめながら話しつづけ、「おれの友達がスッチーだからいいんだ(???)」と別れを惜しんでくれ、久米島の青年は親指に穴があいたくつ下の足を高く上げながら沖縄の踊りを舞ってくれました。
お酒を一滴も飲めないぼくには辛いものがありましたが、沖縄そばがおいしくて毎日食べたのと、“出会い”の熱量に翻弄された一週間でした。
沖縄・奄美・徳之島・南大東島と島々の野菜・果物が続きます。
野菜の多くは愛知渥美半島の天恵グループから届きます。キャベツ・大根・ブロッコリー・カリフラワー・セロリ・サニーレタスなどです。“有機農業”第一世代(ぼくと同じ年回り)が退き、第二世代が活躍しているグループです。
葉物(ほうれん草・小松菜・ちぢみほうれん草・春菊・菜花など)と保存野菜(白菜・里芋・人参・ごぼう)は、栃木・茨城・千葉・神奈川・群馬などの畑から出荷されています。
果物は、いちごの竹村さん(茨城)、りんごの伊藤さん(青森)、瀬戸内海・井場さんのネーブル、熊本津名木の甘夏、群馬・大野さんのキウイフルーツ、みかんは熊本・肥後あゆみの会と静岡・西山さんから届いています。
期待の南伊豆の山本剛さんの黄金柑は、山猿とヒヨドリとの争奪戦に負けないで出荷されるでしょうか?
今年は畑とのどんなつき合いになるのか楽しみです。
あったかいものを食べてください。

 

 

 

 

畑だより ―田舎時間でのんびりと―

寒さがまして霜も降りて、収穫できる作物も少なくなって、村の景色も枯れ色に染まってきています。
まもなく“端境期”に突入です。4月の春野菜の出荷まで3ヶ月余り、お百姓との日々のおつき合いが途絶えます。
1年中チマチマと休むことなく働いている八百屋から見ると、ロングロング冬休み+春休み、お百姓たちは何をしているのか気に掛かります。
どうせ朝から酒飲んで、温泉行ってお湯につかり昼寝をしこたまして、時々気が向いた時畑に行って取り残した腐ったキャベツや大根をけとばしたりして……
ということで、年末野菜をお世話になった栃木鹿沼の田島君にきいてみました。
年を追うごとに百姓をやめる人がふえて、その度「田島のところでうちの畑やってくんねえかな」と依頼され、「村の畑を荒らしているわけにもいかねえよな」と引き受けているようです。
だから農業機械がふえて、土の上よりトラクターに座っている方が多い日もあるそうです。
「年末ガンバッタから、畑には里芋以外なにもなくなったよ。ほっと一息です。それまで収穫・出荷に追われて、4時宅急便屋さんが来るまでにほうれん草を100、小松菜を200、三浦大根を100畑に行って収穫して、15種類位やったからなあ。箱に詰めて伝票書いて……、全て集荷時間から逆算していくんですよ。これって街時間だよね」
「今は出荷がないし、野菜も急に育たないんで、ゆっくり起きてサテ今日は何しようかなと飯を食いながら考えるんです」
「昨日は近くの林にいって、背負いカゴに落葉をあつめ、4時間位やって山になったので、河原でおむすびを食べながら木の枝に糸をつけて魚釣りをやって、眠くなったんで落葉の中にもぐりこんで空をみていたら鳥がとんでて、眠くなって……、そんな一日でした」
「これを田舎時間、畑時間というのかな。百姓はいいなあとしみじみ思うんですよ。春からまた街時間に追いまくられるんだろうけど、この期間があるから百姓をつづけられるんだと思うんです」
と、田島君は語ってくれました。端境期は生産者がお百姓に戻れる時間なのかもしれませんね。
サテ、寒さは野菜・果物をおいしくしてくれています。葉野菜は自ら糖度をあげて寒さから身を守っています。だから甘くて味わい深くなるのです。
新しく登場しているのは、ふきのとう・ちぢみほうれん草・絹さやえんどう・沖縄宮古島のきゅうり・デコポン・はっさく、もう少しすると黄金柑つつづきます。
1年が始まりました。街時間と田舎時間の2つを楽しめる年でありたいと思います。

年末恒例スタッフご挨拶Part1

「冒険」から「探検」への旅へ ―あひるは飛ぶよ?!―

『あひるの家の冒険物語』の連載が終わって半年になります。
冒険家・角幡唯介さんよると、「冒険」にはいくつかの要素があって、その中でも★脱システム★主体的であることが重要だと言います。40年余り前に始められたこの八百屋も、「冒険」と言えるものだったのではないかと思います。
高度成長に突入し、「大きい・速い・システマティック」であることが謳歌されつつある社会にあって、「無農薬野菜の八百屋をやろう」ということは、社会システムの中にはなかったことでした。
「百姓は何処にいる?」「どうやって運べばいいの?」「八百屋仲間をどうやってふやせるんだろう?」「これって仕事?」「……?」「……?」
100の問いに答えられるのは皆無でした。
ただ、今の鼓動だけが確かなことだったと思えます。
40年が経ち、「有機」とか「オーガニック」とか「無農薬」といった商品は手軽に手に入る社会的産物となりました。
一緒に「冒険」をはじめた仲間の多くが舞台を降りていきました。今年に入って2つのグループが去っていきました。
あひるの家は10年余り続いた売り上げの減少が「下げ止まったかな?」と思わせる1年でした。
12月に入って2人の青年男子と青年女子が訪ねて来ました。
「この井場さんという人のみかん、どうしてやっているんですか?」と店に入って来た青年男子は、一橋大学大学院生でジャーナリスト志望の青年でした。着眼点が好ましかったのです。
もう一人の青年女子は、40年程前に出版された『みんな八百屋にな~れ』(長本光男・著)を掲げ店に入って来ました。
「こんな八百屋さんをやりたいんです」
とても、とても久し振りの言葉でした。
今は吉祥寺のレストランの軒先を借りて、つながりの出来たお百姓たちの野菜を週1回販売しているとのことでした。『あひるの家の冒険物語』を渡し、年が明けたらゆっくり話そうと約束しました。
ぼく(たち)の冒険物語は終わったけど、あひるの家は未だ届くことのなかった領空・領域へ飛び立つ探検の旅に向かっていけたらと思います。
1年間ありがとうございました。

狩野