前号でお知らせしたように、台風8号9号10号によるダメージと、続く曇天、雨でサンザンだった8月9月。
「雨、雨、雨、雨、雨、雨…… あ~、お日様が見たい」「ウツになりそう」「おれたちも光合成生物なんだということがわかった」…… と、目いっぱいおちこんでいた百姓たちも、冬野菜の種まき、育苗に日々動きはじめました。
ということは、夏野菜はもうとっくに、秋野菜もほぼアキラメタようです。
また雨と曇り、おまけに台風がまたきています。
ということで、
店先には「あれもない」「これもない」と淋しいかぎりです。
元々9月10月は端境期で野菜がない時なのに、更に徹底的に追いうちをかけられています。
全てが不安定なのですが、その中で最も厳しいのは北海道野菜(じゃが芋・玉ねぎ・人参・南瓜・大根・ほうれん草…)、その中でも人参・ほうれん草はあったりなかったり、他にキャベツ・レタス・小松菜・春菊・京菜など葉野菜が、生育不足と日照不足によるベト病などがでて難しいです。
この後、天候か回復したとして、10月下旬位からブロッコリーなどを含めた遅ればせながらの秋野菜が見込めますが… それまでナガ~イ!
とはいえ、秋ならではのおいしいモノもでてきました。
まず果物です。
青森弘前・伊藤さんから、伊藤さんオリジナルの【いとう】【ひろさきふじ】【千秋】【つがる】とおいしいりんごが届いています。お待ちかねの【紅玉】も、あと2週間位です。
更に、今だけ伊藤さんの洋梨が入荷中。甘酸っぱくてドシッとしていて、食べでがあって安いです。
そして「ミカンといえばイバさんでしょう」の瀬戸内海高根島・井場さんから、みかんが始まりました。小粒ですが、早くも味が濃くてうまいです。レモンも続きます。
山梨勝沼から【巨峰】【ベリーA】【甲州】のぶどうが、あとはバナナ・キウイフルーツのラインナップとなります。
少ないけど野菜の新物として、茨城・要ファームの蓮根、栃木・田島君の里芋、茨城・飯塚君の紅あずま・ごぼう、茨城・要ファームの栗(大きくてウマイ!)、茨城・ハーブスマンの福山君からパクチー・イタリアンナス・ベル型ピーマンなど、珍しくて面白そうなのもでています。
新米に切り替わったお米は、栃木鹿沼・鈴木章さんのコシヒカリ、長野伊那・伊藤さんのおむすび米(コシヒカリ&ミルキークィーン)、茨城かすみがうら・竹村さんのもち米です。
「八百屋なのにニンジンもキャベツもないの?!」と、少し強い口調で言われるとメゲます。「あひるの家はやっぱり八百屋なんだなあ」と、つくづく思いました。
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北海道富良野市麓郷・阪井さんからの手紙
38年前、まだ始まったばかりのあひるの家で半年間リヤカー八百屋をやっていた、富良野麓郷(ろくごう)の阪井さんから、生産者便りが届きました。
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いつもより雪融けが早い順調な春のスタートと思いきや、雨が多く、晴れ間をぬっての種蒔き、移植がやっと終了。
その後も畑が乾く間もない雨が続き、多湿低温で5月6月出遅れ、猛暑が続く7月8月でも生育が追いつかず。
8月末の7号11号9号3連続の台風上陸、その後10号13号での大雨。畑の土や野菜が流され、1週間で400mm以上の雨量で、収穫作業もなかなか進みません。
水源地が土砂で埋まり断水したり、主要道路が寸断されたりと、自然の力を改めて確認する試練の一年になりました。
【じゃが芋】 早生白・さやあかね
発芽までは良かったのですが、その後の生育が進まず、早生白は花芽もそろわず、玉付き小さく、経験のない台不作になってしまいました。さやあかねはもう少し良いですが、不作です。味はデンプンはのって、粉ふきになる芋です。
【玉ねぎ】 オホーツク222・アーリーレッド
移植が春の雨で遅れ、その後の長雨低温で全国的に被害をもたらしたベト病が多発して、消えてしまうもの、小さく出遅れるもので、かなりの大不作です。味は甘味もあり、いつもの味だと思います。
【南瓜】 九重栗・味早太・味皇・坊ちゃん
春の低温多湿でかなり出遅れ、草勢がいつもよりなく、玉付きも悪く小さめで、大不作です。南瓜は環境の中で育てられる子の数が決まるので、玉付きが悪いのも…!
【小豆】 しゅまり 【金時豆】 大正金時
生育は平年並みかと思われていたのですが、8月下旬よりの台風の多雨多湿で花付きが悪く、収量はあまり期待出来ません。
【小麦】 春よ恋
何故か、生育のタイミングが良かったか…? 豊作でした。
昨年の8月末から冬にかけて、見たことも無いネズミの大発生で驚きましたが、これは今年の天災を予期した事だったのでしょうか…!
50年に一度という経験は、一生に一度か、長生きすれば二度ということになります。そう考えたら、甘く見てはいませんが、来年は良い年に…!
今年は小さな野菜たちですが、想像も出来なかった過酷な環境の中、乗り越えるためにエネルギーをため込んで、力強く美味しく育ってくれました。
そんな事を想像しながら味わっていただけたら幸いです。
収穫できる幸せ、食べる幸せ、暮らす幸せに感謝。
2016年9月 38回目の収穫の秋
富良野 百・我(ももんが) 阪井 永典・伊知子・奏太
追伸
私事ですが、申年の還暦です。この秋、同じ環りの申年の初孫が生まれます。大収穫の秋です。
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百姓は、心が強い!
阪井くんの【じゃが芋】【玉ねぎ】【南瓜】【豆】は、余剰が出たらあひるで引き取ると、代表狩野と阪井くんが電話で話していました。
来年2月に東京に来るときは、また一緒に飲みましょう!
畑だより ―台風に襲われた百姓たちは―
台風被害の様子をお知らせする前に、嬉しい話しから。
新米穫れました!入荷始まりました。
関東での豪雨のニュースでは、最近頻繁に登場する「鹿沼」。その度に電話をすると、「降ってねえよ。雨不足だよ」とそっけない章さんの田んぼでは、45度目の稲刈りが始まりました。
高温が続いたせいで、「最良!」と、謙虚な章さんにしては珍しく誇らし気でした。
「25℃以下で発生するイモチ病も出ないで、この後1ヶ月かけて収穫する間に台風がこなけれりゃ最高だよ」
ということで、始まります。祝!新米(コシヒカリ・農薬・化学肥料不使用)
○長野伊那・伊藤さん
【おむすび米】として大好評のお米。「大変順調に育ちました。食味も粒も良好です」とのこと。9月下旬入荷(コシヒカリ&ミルキークイーンのブレンド米・農薬・化学肥料不使用)
お米屋さん高ちゃんからは、「九州・北海道・東北太平洋沿いの米が、台風による倒伏被害がすごく、米の値段が高騰の見込み。それ以上に、国産豆の8割を占める北海道がやられて豆の色抜けも発生し、金時豆・小豆などの色がつかないし、品質も良くないようだ。今出ている豆をキープした方がいい」という話しもありました。
麓郷(ロクゴウ)はTVドラマ『北の国から』の吾郎さんの家があるところです。
9号直撃の後連絡したら、「300ミリの雨が降って、畑一面10センチメートル位の水たまりができ、ひかないんだよ」
「それよか、畑から水が噴き出してんだぜ。じゃが芋も玉ねぎもまだ土の中だから、どうなっちゃてるんだろうね」
「それよか、部落の共同水道が土砂崩れで壊れて断水して、市から給水車に来てもらってサ。その間部落総出で山に入り給水管を直したのサ。それでサ……」
20~30分、合いの手を入れる間もなく話しつづけていました。
元々よく喋る奴だけど、切迫した状況なんだなということが伝わってきました。
北海道の農業は年1作なので、ここで穫れなければ収入がない、借金が残るということになってしまいます。
台風10号の後、南富良野・新得などの地域の壊滅的な状況がニュースで何度も流れました。
阪井君のところに電話をしました。女房のイッチャン(阪井君が35年前半年間あひるの家でリヤカー八百屋をやっていた時、よく遊びに来ていました。鹿児島出身)が出て、阪井君はヘッドライトを点け、まだ(夜8時)畑にいるということなので、様子をきいてみました。
「ここら辺は思ったよりも水引きがよくて、昨日今日とじゃが芋の掘り出しできたんだわ」
「ひどかったのは40キロ離れた南富良野や新得だよ。でも、山に近い、川が近い土手沿いとか、地形で被害があったみたいだよ」
「う~ん、元々春先に雨と曇りが多くて花が全然咲かなくて、今年は半作かなと思っていたので不作は覚悟していたけど、この台風で全滅かなと思ったんだ」
「だから、とれただけ良かったかなと思ってる。今年はそういう年だって」
……「出せる物があったら送って」と言って電話を終わりました。
10号が東北に上陸する前夜、連絡しました。
「防ぎようがないんですよ。りんごの実はみんななってるけど、早採りする訳にいかないし、祈るだけですね」
「今日やったのは枝と枝をはって、樹が倒れたり折れたりしないようにしました…。今年のりんごはあきらめるしかないですかね。祈るだけですよね」と、声がおもいきって沈んでいました。
10号が岩手・青森に甚大な被害をもたらし過ぎ去った頃、伊藤さんから電話がありました。
「大丈夫でしたよ。青森市内を直撃したのだけど、弘前はちょっと離れていたのでセーフでした」と、声を弾ませていました。
さっそく【さんさ】と【きおう】と【未希ライフ】のりんごを注文しました。
台風被害の最も大きかったのは北原君の畑でした。台風9号の雨と風は、畑の作物を全てダメにしてしまいました。
ここから北原君の話しです。
9月中旬~下旬まで出荷予定だった夏野菜(きゅうり・ピーマン・ミニトマト・オクラ・つるむらさき・白丸なす…)の全てが吹き飛ばされたり、ドロに埋まってしまいました。
まあ、これはあきらめるとして、10月~12月出芽を予定していた、芽を出し少し大きくなっていた白菜・大根・キャベツ・小松菜などが、被覆材ごと消え去っていました。「エーッ!年内収入ないじゃん」と畑で一人絶叫していました。
でもやることがたくさんあるので、気を取り直してやってます。ただ、資材に埋もれた野菜の片付け、畑の整地と気の重い作業です。
それと、土がグズグズでダメかもしれないけど、10月後半~年内、来年1月~3月の種を同時に播きはじめました。
あひるの家や40件の宅配も、しばらくお休みさせてください。野菜がないんです。
百姓5年目、毎年試練はあったけど、今年の試練はとても厳しく辛いです。
それでも種を播きます。土をつくります。あ~あ。
<その他の野菜情報>
始まりました:南瓜・冬瓜・里芋・さつま芋・れんこん・セロリ
果物は:りんご各種・ぶどう各種・梨(幸水・二十世紀・豊水)・バナナ・キウイフルーツ
畑だより ―人も野菜も避暑地に移動しました―
6月がとても暑かったせいで、本来8月中旬から下旬まで続く予定の茨城・千葉・栃木・神奈川の夏野菜が終了に向っています。
収量的には、「ピークもなくダラダラ終わって張り合いがなかった」と神奈川の北原君が言うように、芳しくなかったようです。
「熱中症で2度も倒れた数年前の夏が懐かしい」という北原君も変ですが、「ヤッター!」との充足感の乏しい夏の畑だったということです。
そして、畑は標高400~1000mの高原、或いは青森・新潟・山形・北海道へ移っていきます。
キャベツ・レタス・長ネギ・ピーマン・きゅうり・ズッキーニなどは山梨・長野・群馬から、トマト・大根・ほうれん草・小松菜・枝豆・だだちゃ豆・パプリカなどは東北・北海道になります。
昼夜の気温差が大きいので、実のしまったおいしい野菜が育ちます。
果物は夏本番! なんといっても山形尾花沢・高岡さんの西瓜です。雨が少なく、玉はあまり大きくならなかったのですが、シャリシャリ甘く旨いです。
そして、いよいよ青森弘前・伊藤さんからりんごがはじまりました。夏の紅・夏みどり・祝・つがると続きます。
この時期、やややわらかめだけど、甘くて酸っぱくて香りが良いです。
蜜のしたたる貴陽(すもも)、桃・デラウェア・プルーン・ブルーベリー・メロン・ネクタリン・バナナ・キウイフルーツと充実しています。食欲のない時は、果物を豊富にとりましょう。
夏野菜も、そうは言ってもあと1ヶ月くらいです。今のうちにたくさん食べてください。
畑だより ―食べて元気 それしかないでしょう―
「もうマイッタなあ」と、あまりの暑さと湿気に早くも音をあげています。
そんな時、まず食べるのが果物です。甘かったり酸っぱかったり水分たっぷりだったり、疲れた体にしみわたります。
不動の人気No1は、やっぱり桃(山梨一宮)です。
つづいて、シャリシャリ甘く水気たっぷりの西瓜(山形尾花沢)、蜜のしたたる甘さのすもも【貴陽】、ネットリ甘酸っぱい【ネクタリン】、小粒で甘いぶどう【デラウェア】(ここまで山梨勝沼平)。
とろりっと甘味の強い【タカミ】【ホームラン】メロン(青森木造)。そしてもう少しすると、小粒で甘酸っぱい【夏の紅】【夏みどり】【祝】などのりんご(青森弘前)がはじまります。
パイナップル(沖縄)・プルーン(青森)・ブルーベリー(栃木)・バナナ(ペルー)・キウイフルーツ(ニュージーランド)は継続入荷中です。
「今日はコレダ!」とバテ具合に合わせてお食べください。
夏野菜は全て揃いました。産地は近場(関東)に移動し鮮度も良く、安くなりました。
新しくみょうが・米なす・白なす・オクラ・ししとう・モロヘイヤ・つるむらさき・生赤じそ・赤玉ネギははじまりました。
ほうれん草・小松菜など葉物類は北海道・群馬など涼しいところに、大根・キャベツ・レタス・サニーレタスなどは準高原(山梨・標高400m)のところに産地移行しました。
直送野菜・果物は栃木・田島さんからトマト・なす、栃木・鈴木章さんからみょうが・枝豆など夏野菜全般。
神奈川・北原君からカラフルミニトマト・かぶ・空芯菜など入荷中。8月7日(日)、北原君の夏野菜山盛りSALEをやります。
青森弘前・りんごの伊藤さんからブルーベリー・さくらんぼ・プルーン・プラム、そしてりんごがはじまります。
食べて寝て、あとはダラダラと本格的夏を迎えましょう
※ひとつだけお詫びです。暑さのため、“お米に虫発生”が出てきました。栽培・管理の過程で殺虫剤を使用していないのでやむをえないのですが、“虫発生”のお米は返品返金致しますので、お申し出ください。ご自宅での保管は、なるべく冷蔵庫に入れてください。
畑だより ―恵みの雨となったのか?―
実は関東の畑にはほとんど降っていません。かといって晴れ間も少ないので、「病気が心配」というところです。
先ず、人気No1のトマトは栃木鹿沼・田島さんから直送で届いています。鮮度ヨシ!価格安い!味ヨシ!と、三拍子揃っています。この夏前半は田島トマト(品種目:麗夏)でいきます。
おなじみ鈴木章さん、北原君は、あともう少しで本格的に夏野菜がでます。今は枝豆・ズッキーニ・インゲン・モロッコインゲン・空芯菜など、やや地味系なものだけです。
これまで出ていたキャベツ・白菜・大根・かぶ・小松菜などは、標高400mの山梨明野町など準高原地域に産地移動しました。茨城・千葉などの平地は、いよいよ夏野菜本番を迎えます。
曇天、小雨が続いているので、「夏ダ~」という気分になれないのですが、畑は夏にシフトしてきています。
果物は豊富になってきました。
西瓜は大玉・小玉とも甘味が強くシャリ感があって、「やっぱり一番果はウマイ!」とうなります。
毎夏一番人気の山梨一宮の久津間さんの桃・すもも始まりました。野生種のすもも(ガラリ)も奄美大島から届きました。
りんごの伊藤さん(青森弘前)から、おいしくて安いサクランボ(佐藤錦)、栃木の浜田さんからブルーベリー、沖縄石垣島・平安名さんからパイナップル、千葉銚子の荻原さんからメロンと、ラインナップが揃ってきました。バナナ・甘夏・河内晩柑も続いています。
このウットウシイ季節、ガツン!といくかサッパリ!いくかですが、食べて体力・気分を維持していきましょう。
※梅・らっきょうがいよいよ終盤ですが、雨で掘り出しできず、らっきょうの入荷が不安定になっています。漬ける人はお早目に。
畑だより ―苗づくり、種まきでいそがしい。ということは…―
4月5月出荷の春野菜、6月7月出荷の夏野菜の種まきや、ハウスの中で育てた苗床を畑に移す定植作業にお百姓たちは追われています。
ということは、畑に育っている野菜は何もなく、あるとしても貯蔵しておいた人参・ごぼうなどの出荷があるだけです。
冬を越したストック野菜も、北海道じゃが芋・玉ねぎをはじめ、白菜・里芋・蓮根・人参・小松菜・ほうれん草などが終了に向っています。
出荷野菜の少ないこの時期は、お百姓にとって1年で1番のんびりできる時で、温泉などに出掛けることも多いようです。
ということは、八百屋さんの店先に並ぶ野菜が少なくなり、お客さんから「アレもない、コレもない、本当に八百屋なの?」と言われることが多い季節でもあります。
「ナイ、ナイって言わないで、アルものを買ってくれよ」ということで、春だから始まった野菜をお知らせします。
まず、沖縄・徳之島・鹿児島など南方から、新じゃが芋・新玉ねぎ・スナップエンドウ・アスパラガス・プチ空豆・ミディトマト・インゲン・ピーマン・キュウリ・パプリカ・ニガウリ・ズッキーニ・チンゲン菜などが始まっています。
4月4日が海開きというだけあって、南の島々では初夏の装いで夏野菜のラインナップがスタートしました。
この辺(関東)でも、かき菜・菜の花・のらぼう・ラディッシュ・サニーレタス・春キャベツ・春大根・小かぶ・からし菜・味美菜などちょっと地味で、気温がグッとあがる日があると大きくなりすぎたりトウ立ちしたりと、安定感に欠ける野菜がはじまりました。
こう記していると、「けっこうあるじゃん」と思うのですが、いかがでしょうか。
果物は、柑橘類が甘夏・河内晩柑につづいてグレープフルーツ・黄金柑・夏みかんがでます。りんご(ふじ)・イチゴ・キウイフルーツ・バナナは続きます。ちょっとさみしいなあ。
いよいよ春です。神奈川愛川町の北原君の畑に出掛け、春の息吹きを感じてきます。
畑だより ―寒いので暖かいところの話しを―
暖冬だったので、まだ茨城・栃木・神奈川など近辺の畑から野菜が出てきていますが、本格的な寒さが来ると、葉物類を除いて凍みて終了となってしまいます。
大根・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・セロリ・レタスなど全て、暖流が流れこんでいる愛知県渥美半島の天恵グループからの出荷になります。
あたたかい海流と強い海風のせいで、寒いけど霜も雪もなく、おいしい野菜が育ちます。
そこで、あたたかいところの話しをします。
「なんで冬なのに、あひるさんにキュウリやトマトがあるの?」という声がきかれます。
プライスカードをごらんください。沖縄宮古島・石垣島・本島などと記されています。この正月25℃の日もあった沖縄は、早くも春~初夏に向かっています。
沖縄の島々のお百姓たちとつながったのは15年程前です。
それまでポラン広場グループは、鹿児島徳之島まではつながっていたのですが沖縄の情報は全くなく、産地形成ができませんでした(インターネットはなかったからね)。
那覇で小さな宅配グループができ、品物を送っている中、「各島に有機でやっている百姓がいるから来てくれよ」と、何度も催促がありました。
ポラン広場グループの農産担当とネットワーク担当の私が、4泊5日で本当2カ所・宮古島・石垣島・小浜島のお百姓を訪ねていきました。9月下旬だったので、「まだ泳げる、ソーキソバが食える」と、水着をバックにつっこんで出掛けました。
集会所には10人程の人たちが集まってくれていて、ポラン広場のことや農産物の取り扱いのことなどを、スライドなどを使いながら話させてもらい、毎回1~2人関心のある人が残り、そのまま畑を見せてもらい、これからの作付の約束をして次の島に向かう旅でした。
まだ夏ということもあって陽射しは強く、作物は勢いが良く(トマトは10段目までとれる)、土は黒々と輝き、「沖縄はアツイ!」と思ったものです。
畑より熱かったのは百姓でした。
出発間際の機内まで入ってきて、「オレの友達がスチュワーデスやってっから大丈夫だよ」といい、両掌を握りながら話しつづけた宮古島。
「ハブがいるからきをつけて」と言いながらパイナップル畑にどんどん入っていき、自分は腰まである厚いゴム長をはいている。「どう気をつけたらいいんだよ」と腰が引けた石垣島。
「明日島祭りなので、ちょっと待ってて」と体育館で子供たちに踊りを教えていた青年百姓の靴下の指に穴があいていて、窓から吹きこむ海風と見守る先生の美しかった小浜島。
出荷先のあてのないまま有機農業をやっていた彼等にとって、私達の訪問は恋い焦がれた出会いだったのかもしれません。35年前ポラン広場発足時の、一人一人の百姓たちとのドラマチックな出会いを彷彿させるものでした。
以降、小さいながら北海道~沖縄までつながるポラン広場ネットワークができるのでした。
と、今回のお話しはここまで。
寒くなって甘味のました野菜を食べて、冬を乗り切りましょう。
畑だより ―ちょっと早いけど、年末野菜はどうなのか?―
今は順調に育っています。暖冬のせいで、どこの畑もグングン育っています。
お百姓からきかれるのは、「今はいいけど、年末、野菜がなくなんじゃねえかな」の心配の声です。
ようするに、前倒しで育っているということです。
正月用年末野菜、【小松菜】【ほうれん草】【春菊】【セリ】【キャベツ】【ブロッコリー】【カリフラワー】【青首大根】【三浦大根】【里芋】【八ツ頭】【小かぶ】【ゆず】【長ネギ】【下仁田ネギ】【蓮根】【白菜】は潤沢にありそうです。
不安定、極少量が、肝心の【三つ葉】【金時人参】【きゅうり】【トマト】、欠品確定が【くわい】【絹さや】です。
正月用年末果物、広島・井場さんの【みかん】、青森・伊藤さんの【りんご】、熊本・福島さんの【ネーブル】、茨城・竹村さんの【イチゴ】はOKです。
12月30日が最終入荷となります。畑が限られているので、少し早目のキープがおすすめです。
なるべく揃えられるよう、なるべく畑が片付けられるよう、いくつかの仕入れ先と連絡とりながら、「あっちは少ない」「こっちは多い」など、パズルのような日々がはじまります。
新年からのことになりますが、1月6日(水)に【春の七草】(500円)が入荷します。ご予約承っています。
あったかいといっても朝晩は冷えて、栃木では初氷が張ったそうです。その分、野菜は甘味をまして旨くなります。
あったか料理であったまりましょう。
畑だより ―野菜がナイ!野菜が高い!―
ともかく、これだけ野菜が揃わないことも、値段が高いことも初めてのことです。毎日毎日、お客さんから「ナイ!ナイ!」「タカイ!タカイ!」と言われ続け、へこんでいます。
まず、「ナイ」理由です。
元々9月は夏野菜が終りかけ、冬野菜がまだ始まりきらない「端境期」なので、野菜が少なくなります。
さらに追いうちをかけたのが、9月初旬~中旬にかけて10日間余り続いた長雨、そしてダメ押しの台風。
ここで、まだ少し残っていた夏野菜がダメになって、ブロッコリー・カリフラワー・白菜・葉物など少しずつ出てくる野菜もダメになり、さらに秋冬野菜用に播いた種も流されました。
神奈川・北原君の12枚の畑の内2枚は今なお水が引かず、あとの畑も土の中の水分が多すぎて、育っている野菜もチョロチョロヘナヘナで、とても出荷できる状況ではないようです。
北原君は10月下旬まで出荷できる野菜はなく、2ヶ月間はほぼ売上げナシという状況です。
次は「タカイ」理由です。
この時期、ポラン広場が作付している長野・群馬・山梨・茨城の畑は欠品が続き、入荷しても「あった!あった!」位の量しかありません。ポラン広場の作付野菜は年間契約なので、価格が変動することはないのですが、ナイ!のです。
あひるの家がもう一つの仕入れ先としている『温市』は、幅広い農家とのつき合いがあり、こういう時は助けられています。
ただ、温市の場合は作付ではなく買付になるので、「一般市場動向」にスライドして価格が変動します。だから、今のように市場価格が暴騰している時は、野菜はあるのだけど高い!ということになります。
さらに、大根は北海道、トマトも北海道、キャベツは長野川上村の高原地域と遠距離輸送費がかかり、その地域でも長雨台風で野菜が少ない、といくつもの要因が重なって高くなっています。
作る人も売る人も買う人も辛い状況です。
そんな中、おいしくて安くて潤沢な野菜が、北海道富良野・阪井君のじゃが芋・玉ねぎ・南瓜です。特に九重栗という種類の南瓜は、ホックホクで甘くてとびきりです。
栃木鹿沼・田島君のネットリ歯ごたえのある里芋、オススメです。
栃木鹿沼・鈴木章さん、長野伊那おむすび米と新米がはじまりました。
果物はりんご・柿・みかん・ぶどう・キウイフルーツ・バナナと、色鮮やかにラインナップがそろいました。
あと3週間もすれば、各産地野菜が育ち、安くなります。それまで大切に大切に食べてください。