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畑だより ―畑未だ回復せず でも少しずつ…―

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89月の台風と長雨と日照不足で、実っていた夏野菜と育ちつつあった秋野菜が壊滅的被害を受けました。
神奈川・北原君からは、8月中旬から今まで、まだ一度も野菜が届いていません。1030日にお客さんと収穫祭やるのだけど、実っている野菜があるのかなあと心配です(※)。
畑の土は今なお水分が抜けず、種を播いても発芽しなかったり、出ても生育しなかったり、虫にアッ!という間に食べられたりを繰り返しています。
うまくすると11月中にほうれん草・壬生菜・パクチョイ・かつお菜などが育ちそうで、12月にはブロッコリー・カリフラワー・キャベツ・白菜が出そうだという希望的観測です。順調に出るのは「年明けから」ということになりそうです。
影響が少なかった百姓からは、それでも少しずつ秋野菜が届きはじめました。
山梨からは秋大根・レタス・サニーレタス・リーフレタス・かぶ・白菜・キャベツ、茨城からはほうれん草・小松菜・春菊・水菜・チンゲン菜などの葉物類がはじまりました。キャベツ・ほうれん草は極少な目です。11月中旬位には潤沢に入荷し、価格も下がります。
実りの秋満喫は果物です。
奈良・王隠堂さんの富有柿、瀬戸内海高根島・井場さんのみかん、群馬・大野さんのキウイフルーツ【紅妃】、長野・松川有機の超特大梨【新高】、長崎有機の新登場レモン。
そして色鮮やか味いろいろのりんごが青森弘前・伊藤さんから続々入荷です。甘酸っぱい【紅玉】【千秋】、甘くて硬い【ふじ】【北紅】と、お好みに合わせられます。
北海道富良野・阪井君(例年の半作)、神奈川愛川の北原君をはじめ、この夏秋は百姓たちには辛い季節でした。
八百屋にとっても「あれもない」「これもない」と、意気の上がらない時でした。
あと2ヶ月、晴れの快い日も多くなり、「ヨシ!」と気分が高揚してきています。

※元ネタのあひる通信発行時は10月28日でした。北原くんちの収穫祭は参加したみなさんによろこんでもらい大成功こうでした。

畑だより ―今年は実りの秋とはいきませんでした―

前号でお知らせしたように、台風8910号によるダメージと、続く曇天、雨でサンザンだった89月。
「雨、雨、雨、雨、雨、雨…… あ~、お日様が見たい」「ウツになりそう」「おれたちも光合成生物なんだということがわかった」…… と、目いっぱいおちこんでいた百姓たちも、冬野菜の種まき、育苗に日々動きはじめました。
ということは、夏野菜はもうとっくに、秋野菜もほぼアキラメタようです。
また雨と曇り、おまけに台風がまたきています。
ということで、
店先には「あれもない」「これもない」と淋しいかぎりです。
元々910月は端境期で野菜がない時なのに、更に徹底的に追いうちをかけられています。
全てが不安定なのですが、その中で最も厳しいのは北海道野菜(じゃが芋・玉ねぎ・人参・南瓜・大根・ほうれん草…)、その中でも人参・ほうれん草はあったりなかったり、他にキャベツ・レタス・小松菜・春菊・京菜など葉野菜が、生育不足と日照不足によるベト病などがでて難しいです。
この後、天候か回復したとして、10月下旬位からブロッコリーなどを含めた遅ればせながらの秋野菜が見込めますが… それまでナガ~イ!
とはいえ、秋ならではのおいしいモノもでてきました。
まず果物です。
青森弘前・伊藤さんから、伊藤さんオリジナルの【いとう】【ひろさきふじ】【千秋】【つがる】とおいしいりんごが届いています。お待ちかねの【紅玉】も、あと2週間位です。
更に、今だけ伊藤さんの洋梨が入荷中。甘酸っぱくてドシッとしていて、食べでがあって安いです。
そして「ミカンといえばイバさんでしょう」の瀬戸内海高根島・井場さんから、みかんが始まりました。小粒ですが、早くも味が濃くてうまいです。レモンも続きます。
山梨勝沼から【巨峰】【ベリーA】【甲州】のぶどうが、あとはバナナ・キウイフルーツのラインナップとなります。
少ないけど野菜の新物として、茨城・要ファームの蓮根、栃木・田島君の里芋、茨城・飯塚君の紅あずま・ごぼう、茨城・要ファームの栗(大きくてウマイ!)、茨城・ハーブスマンの福山君からパクチー・イタリアンナス・ベル型ピーマンなど、珍しくて面白そうなのもでています。
新米に切り替わったお米は、栃木鹿沼・鈴木章さんのコシヒカリ、長野伊那・伊藤さんのおむすび米(コシヒカリ&ミルキークィーン)、茨城かすみがうら・竹村さんのもち米です。
「八百屋なのにニンジンもキャベツもないの?!」と、少し強い口調で言われるとメゲます。「あひるの家はやっぱり八百屋なんだなあ」と、つくづく思いました。

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ウィークエンドふくしまinくにたち ~2016秋の2DAYSスペシャル~

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9.24()  映画『飯館村の母ちゃんたち~土とともに』上映会

19時開演 場所:くにたち福祉会館大ホール 

参加費:前売1,000円 当日1,300

へこたれない母ちゃんたちの、愛しき友情ストーリー

「この山脈を仰いで一生終わりたいな、と思っていました」 あの日から5年、伊達市の仮設住宅で暮らす菅野榮子さん(79才)と菅野芳子さん(78才)は飯館村出身。「仕事してるときは放射能から離れられる」と畑を耕し、村の伝統的な食文化を絶やさないようにつくり続ける二人。「戦争にひっかかってきたんだから、死なねっ!」と笑いあう二人に「帰村」の決断が迫る。
パレスチナの人々に寄り添ってきた古居みずえ監督のカメラは圧倒的な肯定感と説得力で、包み込むように二人の姿を捉えていく。

9.25()「 ぷろばんす亭」の母ちゃんたち×Yoshi Veggie 食事&交流会

12時開演 場所:富士見小路JIKKA 参加費:2,000円 定員:25

ふくしまの母ちゃんたちがやってくる

いわき市三和町上三坂にある『ぷろばんす亭』は、県外からもお客さんが集まる農家レストラン。採れたての野菜をふんだんに使って母ちゃんたちが作る料理が人気です。
この春、上三坂を訪れたベジ料理研究家YOSHIさんの料理を食べながら語り合います。

※「ウィークエンドふくしまinくにたち2016秋の2DAYSスペシャル」の詳細は配布のチラシをご覧ください。

※映画前売券(1,000円)の購入、食事会の参加予約はあひるの家スタッフにお申し込みください。

畑だより ―台風に襲われた百姓たちは―

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台風被害の様子をお知らせする前に、嬉しい話しから。

新米穫れました!入荷始まりました。

○栃木鹿沼・鈴木章さんakirasan

関東での豪雨のニュースでは、最近頻繁に登場する「鹿沼」。その度に電話をすると、「降ってねえよ。雨不足だよ」とそっけない章さんの田んぼでは、45度目の稲刈りが始まりました。
高温が続いたせいで、「最良!」と、謙虚な章さんにしては珍しく誇らし気でした。
25℃以下で発生するイモチ病も出ないで、この後1ヶ月かけて収穫する間に台風がこなけれりゃ最高だよ」
ということで、始まります。祝!新米(コシヒカリ・農薬・化学肥料不使用)

○長野伊那・伊藤さん

【おむすび米】として大好評のお米。「大変順調に育ちました。食味も粒も良好です」とのこと。9月下旬入荷(コシヒカリ&ミルキークイーンのブレンド米・農薬・化学肥料不使用)
お米屋さん高ちゃんからは、「九州・北海道・東北太平洋沿いの米が、台風による倒伏被害がすごく、米の値段が高騰の見込み。それ以上に、国産豆の8割を占める北海道がやられて豆の色抜けも発生し、金時豆・小豆などの色がつかないし、品質も良くないようだ。今出ている豆をキープした方がいい」という話しもありました。

●北海道富良野麓郷・阪井永典さんsakaikun[1]

麓郷(ロクゴウ)はTVドラマ『北の国から』の吾郎さんの家があるところです。
9号直撃の後連絡したら、「300ミリの雨が降って、畑一面10センチメートル位の水たまりができ、ひかないんだよ」
「それよか、畑から水が噴き出してんだぜ。じゃが芋も玉ねぎもまだ土の中だから、どうなっちゃてるんだろうね」
「それよか、部落の共同水道が土砂崩れで壊れて断水して、市から給水車に来てもらってサ。その間部落総出で山に入り給水管を直したのサ。それでサ……」
2030分、合いの手を入れる間もなく話しつづけていました。
元々よく喋る奴だけど、切迫した状況なんだなということが伝わってきました。
北海道の農業は年1作なので、ここで穫れなければ収入がない、借金が残るということになってしまいます。
台風10号の後、南富良野・新得などの地域の壊滅的な状況がニュースで何度も流れました。
阪井君のところに電話をしました。女房のイッチャン(阪井君が35年前半年間あひるの家でリヤカー八百屋をやっていた時、よく遊びに来ていました。鹿児島出身)が出て、阪井君はヘッドライトを点け、まだ(夜8時)畑にいるということなので、様子をきいてみました。
「ここら辺は思ったよりも水引きがよくて、昨日今日とじゃが芋の掘り出しできたんだわ」
「ひどかったのは40キロ離れた南富良野や新得だよ。でも、山に近い、川が近い土手沿いとか、地形で被害があったみたいだよ」
「う~ん、元々春先に雨と曇りが多くて花が全然咲かなくて、今年は半作かなと思っていたので不作は覚悟していたけど、この台風で全滅かなと思ったんだ」
「だから、とれただけ良かったかなと思ってる。今年はそういう年だって」
……「出せる物があったら送って」と言って電話を終わりました。

○青森弘前・伊藤農園ito

10号が東北に上陸する前夜、連絡しました。
「防ぎようがないんですよ。りんごの実はみんななってるけど、早採りする訳にいかないし、祈るだけですね」
「今日やったのは枝と枝をはって、樹が倒れたり折れたりしないようにしました…。今年のりんごはあきらめるしかないですかね。祈るだけですよね」と、声がおもいきって沈んでいました。
10号が岩手・青森に甚大な被害をもたらし過ぎ去った頃、伊藤さんから電話がありました。
「大丈夫でしたよ。青森市内を直撃したのだけど、弘前はちょっと離れていたのでセーフでした」と、声を弾ませていました。
さっそく【さんさ】と【きおう】と【未希ライフ】のりんごを注文しました。

●神奈川愛川町・北原瞬さんkitahara

台風被害の最も大きかったのは北原君の畑でした。台風9号の雨と風は、畑の作物を全てダメにしてしまいました。
ここから北原君の話しです。

9月中旬~下旬まで出荷予定だった夏野菜(きゅうり・ピーマン・ミニトマト・オクラ・つるむらさき・白丸なす…)の全てが吹き飛ばされたり、ドロに埋まってしまいました。
まあ、これはあきらめるとして、10月~12月出芽を予定していた、芽を出し少し大きくなっていた白菜・大根・キャベツ・小松菜などが、被覆材ごと消え去っていました。「エーッ!年内収入ないじゃん」と畑で一人絶叫していました。
でもやることがたくさんあるので、気を取り直してやってます。ただ、資材に埋もれた野菜の片付け、畑の整地と気の重い作業です。
それと、土がグズグズでダメかもしれないけど、10月後半~年内、来年1月~3月の種を同時に播きはじめました。
あひるの家や40件の宅配も、しばらくお休みさせてください。野菜がないんです。
百姓5年目、毎年試練はあったけど、今年の試練はとても厳しく辛いです。
それでも種を播きます。土をつくります。あ~あ。

<その他の野菜情報>

始まりました:南瓜・冬瓜・里芋・さつま芋・れんこん・セロリ
果物は:りんご各種・ぶどう各種・梨(幸水・二十世紀・豊水)・バナナ・キウイフルーツ

畑だより ―人も野菜も避暑地に移動しました―

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6月がとても暑かったせいで、本来8月中旬から下旬まで続く予定の茨城・千葉・栃木・神奈川の夏野菜が終了に向っています。
収量的には、「ピークもなくダラダラ終わって張り合いがなかった」と神奈川の北原君が言うように、芳しくなかったようです。
「熱中症で2度も倒れた数年前の夏が懐かしい」という北原君も変ですが、「ヤッター!」との充足感の乏しい夏の畑だったということです。
そして、畑は標高4001000mの高原、或いは青森・新潟・山形・北海道へ移っていきます。
キャベツ・レタス・長ネギ・ピーマン・きゅうり・ズッキーニなどは山梨・長野・群馬から、トマト・大根・ほうれん草・小松菜・枝豆・だだちゃ豆・パプリカなどは東北・北海道になります。
昼夜の気温差が大きいので、実のしまったおいしい野菜が育ちます。
果物は夏本番! なんといっても山形尾花沢・高岡さんの西瓜です。雨が少なく、玉はあまり大きくならなかったのですが、シャリシャリ甘く旨いです。
そして、いよいよ青森弘前・伊藤さんからりんごがはじまりました。夏の紅・夏みどり・祝・つがると続きます。
この時期、やややわらかめだけど、甘くて酸っぱくて香りが良いです。
蜜のしたたる貴陽(すもも)、桃・デラウェア・プルーン・ブルーベリー・メロン・ネクタリン・バナナ・キウイフルーツと充実しています。食欲のない時は、果物を豊富にとりましょう。
夏野菜も、そうは言ってもあと1ヶ月くらいです。今のうちにたくさん食べてください。

畑だより ―食べて元気 それしかないでしょう―

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「もうマイッタなあ」と、あまりの暑さと湿気に早くも音をあげています。
そんな時、まず食べるのが果物です。甘かったり酸っぱかったり水分たっぷりだったり、疲れた体にしみわたります。
不動の人気No1は、やっぱり桃(山梨一宮)です。
つづいて、シャリシャリ甘く水気たっぷりの西瓜(山形尾花沢)、蜜のしたたる甘さのすもも【貴陽】、ネットリ甘酸っぱい【ネクタリン】、小粒で甘いぶどう【デラウェア】(ここまで山梨勝沼平)。
とろりっと甘味の強い【タカミ】【ホームラン】メロン(青森木造)。そしてもう少しすると、小粒で甘酸っぱい【夏の紅】【夏みどり】【祝】などのりんご(青森弘前)がはじまります。
パイナップル(沖縄)・プルーン(青森)・ブルーベリー(栃木)・バナナ(ペルー)・キウイフルーツ(ニュージーランド)は継続入荷中です。
「今日はコレダ!」とバテ具合に合わせてお食べください。
夏野菜は全て揃いました。産地は近場(関東)に移動し鮮度も良く、安くなりました。
新しくみょうが・米なす・白なす・オクラ・ししとう・モロヘイヤ・つるむらさき・生赤じそ・赤玉ネギははじまりました。
ほうれん草・小松菜など葉物類は北海道・群馬など涼しいところに、大根・キャベツ・レタス・サニーレタスなどは準高原(山梨・標高400m)のところに産地移行しました。
直送野菜・果物は栃木・田島さんからトマト・なす、栃木・鈴木章さんからみょうが・枝豆など夏野菜全般。
神奈川・北原君からカラフルミニトマト・かぶ・空芯菜など入荷中。87日(日)、北原君の夏野菜山盛りSALEをやります。
青森弘前・りんごの伊藤さんからブルーベリー・さくらんぼ・プルーン・プラム、そしてりんごがはじまります。
食べて寝て、あとはダラダラと本格的夏を迎えましょう

※ひとつだけお詫びです。暑さのため、“お米に虫発生”が出てきました。栽培・管理の過程で殺虫剤を使用していないのでやむをえないのですが、“虫発生”のお米は返品返金致しますので、お申し出ください。ご自宅での保管は、なるべく冷蔵庫に入れてください。

あひるの店先から

前回、528日~29日に催した福島ツアーの“海編”をお知らせしたので、今回は“山編”です。
“海編”では、魚の出荷前検査場の青年職員中野君の、「福島の魚は検査してるんだから、買って食べてほしいですよね。どうすればいいんですかね」という困惑気味の顔と、その後行った薄磯地区の語り部大谷さんの、震災前後1時間余りに体験したことのすさまじさは、これまで聞くことのできない話しでした。
解散地点に向かう帰路のバスの中で、この日大変熱心にガイドしてくれた四家さん(復興支援観光センター)の、「これだけはきいてほしい」という気持ちが伝わる話も印象深いものでした。
道の両側にプレハブの仮設住宅や新築4階建ての復興支援住宅がズラーッと並び、ところどころに戸建て住宅が点在しています。
「左側の住宅エリアは東電関連の住宅で、右側が市と県が管理する住宅です。富岡町、浪江町など原発事故で避難してきているのが東電住宅で、地震・津波で避難してきた人は市・県の住宅に住んでいます」
「地震・津波・原発事故の被災は分けられるものではないのですが、東電が、市・県がそう認定したということにすぎません。ここも問題です」
「更に問題なのは、東電関連の住宅費は無料で、市・県住宅は有料です。更に、東電からは月110万円の賠償金が払われ、市・県の側には一部支援はあっても、基本的にありません」
ここからヒートアップしていきます。
「いわき市は今や日本一の地価高騰のエリアになっています。物価も高騰しています。7000万円もする住宅をキャッシュで買った。スナックで札ビラを切って豪遊している。パチンコ屋は昼から超満員。そんな話しばかりがきこえてきて、治安も悪くなってきています」
「学校の保護者会、町内会など街の隅々で、避難住民と在のいわき住民の軋轢が起こっています」
「在のいわき住民の多くは、東電関連の避難者はいわきから出ていってほしいと思っているんじゃないですか。表だっては言わないけど」
ウ~ン、オッサンそこまで言うのかよ、と思いましたが。
前回のバスツアーのガイドをしてくれた富岡町の田中さん(在いわき市)の、「私達は被害者なのだけど、加害者ともみられていることをいつも腹にすえておきたい」という言葉を思い出しました。
四家さんの話しは、イラク・シリアの難民に対するヨーロッパ各国での対応と同じだと思いました。
「被災地福島」は5年が経ち「帰れないのに帰れ」の圧力が強まったり、「自主避難者」への支援(賠償)が打ち切られたり、子供たちの甲状腺がんのおそれが拡大したりと、複雑な様相を呈してきています。
当事者ではない私にとって、サテ、サテ、サテ…と思うところです。
したいことでもあり、できることは、「福島で生きる」人たちとつながりつづけていくことだと思っています。
この後温泉に立ち寄って“山”に向ったのですが、今号はここまで。“バス編”でした。
9月下旬に国立で、福島関連の映画上映会と、作って食べる食事会をやります。
最後に、私が関わっている会の会員募集です。

『福島とつながる種まきネットワークプロジェクト』
福島とつながるイベント・ツアーを行っています。情報・通信費として年3000円の会員会費が必要です。会員になってください。

畑だより ―恵みの雨となったのか?―

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実は関東の畑にはほとんど降っていません。かといって晴れ間も少ないので、「病気が心配」というところです。
先ず、人気No1のトマトは栃木鹿沼・田島さんから直送で届いています。鮮度ヨシ!価格安い!味ヨシ!と、三拍子揃っています。この夏前半は田島トマト(品種目:麗夏)でいきます。
おなじみ鈴木章さん、北原君は、あともう少しで本格的に夏野菜がでます。今は枝豆・ズッキーニ・インゲン・モロッコインゲン・空芯菜など、やや地味系なものだけです。
これまで出ていたキャベツ・白菜・大根・かぶ・小松菜などは、標高400mの山梨明野町など準高原地域に産地移動しました。茨城・千葉などの平地は、いよいよ夏野菜本番を迎えます。
曇天、小雨が続いているので、「夏ダ~」という気分になれないのですが、畑は夏にシフトしてきています。
果物は豊富になってきました。
西瓜は大玉・小玉とも甘味が強くシャリ感があって、「やっぱり一番果はウマイ!」とうなります。
毎夏一番人気の山梨一宮の久津間さんの桃・すもも始まりました。野生種のすもも(ガラリ)も奄美大島から届きました。
りんごの伊藤さん(青森弘前)から、おいしくて安いサクランボ(佐藤錦)、栃木の浜田さんからブルーベリー、沖縄石垣島・平安名さんからパイナップル、千葉銚子の荻原さんからメロンと、ラインナップが揃ってきました。バナナ・甘夏・河内晩柑も続いています。
このウットウシイ季節、ガツン!といくかサッパリ!いくかですが、食べて体力・気分を維持していきましょう。

※梅・らっきょうがいよいよ終盤ですが、雨で掘り出しできず、らっきょうの入荷が不安定になっています。漬ける人はお早目に。

あひるの店先から

5月2829日、春爛漫の福島の海と山に行ってきました。
あまりの陽射しで顔と腕はマッカッカで、「朝から酒飲んでんの」と間違われる位。でも、「海と山イッター!」の気分爽快です。
朝700東京発のいわき号に乗り、1000着。はじめに向ったのは小名浜漁港にある「出荷前検査場」。休日にもかかわらず案内してくれた中野青年(担当職員)。
「20魚種(海の底にいる魚)は出荷禁止で、その他は検査して25ベクレル/kg以下だと出荷している(国:100ベクレル/kg、県:50ベクレル/kgを出荷基準にしている)」
「それでも、福島の漁港にあがったというだけで、売れないか買いたたかれる」
「漁師や漁協には補償金が出ているけど、仲買い・倉庫業・加工業・運送屋・冷屋など、漁港を支えてきた人たちには全く補償はないので、廃業が続いている」
「他の地域は検査していないのだから、検査してある福島は安心よね、とならないですかね」
と、幾種もの検査器を前にため息をもらしていました。
検査場の前の観光スポット『ららミュウ』には、何軒もの魚屋さんがいせいのいい声をあげ、魚貝を売っていました。「福島産」のものはゼロでした。
次に向かったのは薄磯地区。3.11のあの時刻(1446)に村にいた人の半数(150名)が亡くなった地域。10数台の重機が整地・かさ上げ工事を行ってホコリっぽい。
10mのかさ上げ地で待っていてくれたのは、語り部の大谷さん(60才位)。「重機の音に負けないようにハンドマイクで話します」と話しはじめたのは、2011.3.11.14351515位の30分間体験したことでした。
「第一波の津波は全く気付かなくて、チョット海を見てくると家から200mのところにある
4.7mの防波堤に登ったら、水平線まで海底が黒々と見え、全身が総毛立ち、家に駆け戻ったのだと思う。というのは、今なお、家にどう帰ったのか思い出せません」
「あと7分で津波がくるとラジオが言っていたのを聴いたように思うけど、裏の神社の10段目の階段でふり返った情景までの30分間の記憶もないのです」
「これを話せるようになるのに3年かかりましたが、神社の10段目でふり返ると、女房が犬2匹をかかえ、93才のおばあちゃんの手を引いて、70才のおばちゃんと階段を登ろうとするところでした。もうすぐ後ろには、黒々とした獰猛な海水がおしよせていました。私は“手を離せ!”と何度も叫んだことは、はっきり覚えています」
「後できくと、近所の子供を背負って高台まで駆けていたり、そのおばあちゃんも途中まで背負ってずりおちてしまったことなど聞かしてもらうのですが、記憶になく、“手を離せ!”という自分の声だけが残っているのです」
海を見ながら、10mの盛り土の上で陽を燦々とあびながらの1時間は、あっという間でした。
たくさんの話しをしてくれた彼の最後のメッセージは、「語れるのに3年が経ちました。語ることで、聞いてもらうことで、私の肩にのしかかっていたものが軽くなっていくようです。今回、皆さんにお渡しするお土産はないのですが、私の肩の荷を少しずつ持って帰っていただけたら嬉しいです。軽くなった分、村の再建に向かう力が出るような気がします。また来てください」と、握手をして別れました。
と言うことで、今回の福島ツアー“海編”はここまで。次号(?)、“山編”です。

畑だより ―ともかく野菜の成育が早すぎる!―

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「10日から2週間早い」と、連日の暑さでへばり気味の栃木鹿沼の鈴木章さんは、少し困惑気味に語ります。「不安」を感じているのだと思います。
「不安」が外れることを願いつつ、章さんの畑の便りから。
ブロッコリー・カリフラワー・キヌサヤエンドウ・いんげん・そら豆・スナップエンドウ・春白菜・セロリと、豆・サヤの季節を彩っています。
1週間位経つと、枝豆・きゅうり・トマト・オクラ・南瓜と、夏野菜が早くも出荷が始まります。豆・サヤは終了に向います。
神奈川愛川の北原君はマンパワーを動員して、夏野菜の定植に追われています。今は大根・かぶ・長ネギ・みさきキャベツ・ズッキーニ・そら豆・レタスと、少な目の出荷です。
ナスを除いて(6月中旬?)夏野菜はそろいました。アスパラ・とうもろこし・ししとう・赤玉ねぎ・にがうり・モロヘイヤ・つるむらさき・パプリカなども順調にはじまっています。
果物は、人気の栃木・浜田さんのブルーベリー、千葉山武の小玉西瓜、熊本肥後のメロン各種、沖縄石垣島のパイナップル、バナナ(ペルー)、キウイフルーツ(ニュージーランド)というところですが、和歌山・内芝さんのびわは雹(ひょう)害で大半がやられ、出荷できるのはわずか5%位ということです。
「過酷だなあ」と思い、「オレだとすぐ百姓やめちゃうだろうな」と思わせる事態が、毎年毎年起こっています。この夏、どんな事がおこるやら。
ともあれ、早い夏野菜の出荷がはじまりました。