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畑だより ―今回は畑のことというより、耕す人のことです―

6月29日30日、『種まきネット』の福島ツアーで二本松東和地区を訪ねてきました。
東和地区には13組30人余りの新規就農者が有機農業、自然養鶏を営んでいます。神主さん、フレンチのシェフなどを加えた交流会が、今回のツアーのメインでした。
73才~42才まで、移住歴16年~2年とまちまちですが、そこには「食べていけて、仲間がいて、夢がある」と感じさせるものがありました。
畑を案内してもらうつもりだった(雨のため断念)関さん(44才)は、13年前に家族4人で移住してきました。
東大を出てキャリア官僚として農水省に入所し、同期で別人だけど同姓だった関さんと結婚し、6年7ヶ月で退職、移住したとのことでした。
「丁度、就職氷河期と言われる時。ともかく安定した仕事につきたいと思って入所したんですよ。でも、3年位して“オレは本当に選んだんだろうか?”と思いはじめ、元々物づくりをしたいと思っていたので百姓を選んだんですよ」と、ニコニコ語ってくれました。
耕作不耕地の桑畑を借りたのだけど、根が張って起こせないで苦戦していると、近所の大工さんが工事用コンボを持ってきて掘りおこしてくれたり、まるで村総出で応援してくれたのです。
それでも、5年は作物はほとんど育たなかったと言います。その間、酒蔵に行って仕事をしていたそうです。
「10年がたって、ようやく手ごたえを感じてるなあ。震災・原発事故で出荷先の全てに断られたこともあったなあ。でも、いるんですよ、“なんとかしよう”という気持ちを持った人が」
関さんは冬場の仕事として自宅に『ビール工場』(ななくさビール)をつくり、仲間8人と丘の上にぶどう栽培からはじめる『夢ワイン』工場販売所もスタートさせています。いただいたキュウリ・ミニトマト・自家製パンは、ことのほかおいしかったです。
あひるの家が直接おつき合いしている北原君(神奈川)、鈴木章さん・田島君・高田さん(栃木)、竹村さん(茨城)、伊藤さん(青森)、阪井君(北海道)なんかにこの話しをして、「食べていけて仲間がいて夢がある」ってどうだろう?ときいてみるつもりです。

はじまらない夏に立往生している畑です。

<果物>
大玉西瓜・小玉西瓜・桃・すもも・ガラリ・パイナップル・キウイフルーツ・サクランボ・タカミメロン・バナナ・甘夏・河内晩柑と充実のラインナップです。曇天の前にある程度結実していたので、影響が少ないです。

<野菜>
キュウリ・ナス・長ナス・トマト・ミニトマト・ピーマン・インゲン・枝豆・ししとう・南瓜・トウモロコシ・キャベツ・カブ・ほうれん草・小松菜・アスパラ・チンゲン菜・ツルムラサキ・モロヘイヤ・にがうり・ズッキーニ・空芯菜・バジルと揃っているのですが、陽射しがないため傷み、枯れ、成長不足と障害が出はじめています。これから欠品、入荷量減少が広がりそうです。

北原祥ちゃんは過労、天候不順もあってダウンしています。皆さんも体調管理に十分気を付けてください。

畑だより ―栃木鹿沼から章さんがやってくる!―

7月13日(土)章さんの野菜・お米全品10%OFFSALE!

南瓜(絶品!)・ツルムラサキ・モロヘイヤ・キュウリ・インゲン・キャベツ・セロリ・ネギ・米……

「1年に1回はあひるに顔を出さなくちゃなあ」と電車を乗り継いでやってきます。
店頭に立つと、普段あんまり人と出会うことがないせいかテンションが上がっちゃって「ヨシ!あひるがお世話になってるお礼だ!今日はおれの野菜全部ただダ!」などと大声をあげてお客さんを喜ばせてくれるのですが、お店にとっては営業妨害してんじゃねえよと思いますが、1年に1回(電話では5日に1回位)会うのが楽しみなのです。
章さんとつき合いはじめて40年になります。マツさん(妻)と2人で牛を飼い、米と麦を育て野菜を作る自給型循環農業を営んでいます。「半分あきらめて、半分で一生懸命やる」という農業姿勢は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ風ニモマケズ……」を体現しているかのようです。
当日何か百姓らしいお土産をプレゼントしてくれるそうですから、もらいがてら章さんの深く刻まれたシワいっぱいの笑顔に会いに来てください。
果物です。
青森弘前・伊藤さんから、安くておいしいサクランボ、つづいてブルーベリーが始まりました。りんご農家が楽しみで作った果物なので、安いです。間もなく伊藤さんからりんごのお礼ということで、秋田フキ(1mくらいある、やわらかい)が届きます。届いた時いらしたお客さんにプレゼントします。
一番果のシャリシャリ甘い小玉西瓜が千葉から、ブルーベリーが栃木・浜田さん、ビワが和歌山・内芝さんと奈良・王隠堂さん、メロンが長崎有研、バナナ・キウイフルーツ・甘夏・河内晩柑は味が濃くておいしいです。
野菜です。
梅干用梅はあと一週間で終了、らっきょうは2週間位続きます。ただし、雨が降ると畑で掘り出せないので欠品となります。
トウモロコシ・グリーンアスパラ・ズッキーニ・ゴーヤー・南瓜・キュウリ・ピーマン・赤ピーマン・セロリ・レタス・サニーレタス・キャベツ・大根・バジル……。ほうれん草・小松菜は減少し、ツルムラサキ・モロヘイヤなどが葉野菜になっていきます。
そして何よりも、栃木鹿沼・田島さんからとまと(麗夏)がはじまりました。甘酸っぱくて実が詰まったおいしいとまとで、1ヶ月位続きます。安いです!
なにかとうっとうしくてへこたれそうですが、食べて、また食べて乗り切りましょう。

畑だより ―もう真夏といっていい暑さがつづいて……畑も人も―

薫風なんてことは一度もなく、ただ暑い暑いの5月でした。
初夏の野菜といえば豆・サヤが出回りおいしい季節です。空豆・スナップエンドウ・絹さやえんどう・インゲン・枝豆とラインナップが揃いました。
ただ、あまりの暑さでサヤはどんどん大きくなり、豆はどんどん硬くなっていきます。だから、あっちこっちのお百姓さんからSOSのコールがきています。誰からもらったらいいのか悩ましいものがあります。
つい、「いいよ!」と言ってしまって、店の保冷庫は満杯状態になりつつあります。お百姓さんからの電話におびえている昨今です。
そうは言っても出荷適期はどこも2週間余り、見栄をはるしかありません!そこで皆さん!豆・サヤ類をよろしくお願いします。
いよいよ夏本番に向かおうとしている野菜は、トマト・ミニトマト・きゅうり・ピーマン・パプリカ・オクラ・シシトウ・グリーンアスパラ・にがうり・ズッキーニ・ベビーコーン……、果物はビワ・キウイフルーツ・小玉西瓜・マダーボール西瓜・ブルーベリーが始まりました。
終了、或いは終了に向かっているのが、りんご・いちごが終了、甘夏・グレープフルーツ・河内晩柑・レモンなど柑橘類がそろそろです。
神奈川・北原君からはミサキキャベツ・カリフラワー・葉付人参・スナップエンドウ・小かぶ・玉ねぎ・バジルが入荷中。ミサキキャベツが生だとシャキシャキしてうまいです。
栃木・鈴木章さんからはセロリ・キャベツ・いんげん・ブロッコリー・長ネギ・カリフラワーが入荷。豆・サヤ類は急激な雨と暑さで枯れています。
これから産地の大半が関東に移行してくるので、豊富で鮮度もよく、おまけに運送費が少なくなるので安くなります。いいことずくめです。
ただし、雨・風・暑さが穏やかな状態であることが条件です。でも、ここ数年1度もないんだよなあ。今夏は天にお願いしましょう。
「ちゃんとやるから、ごほうびくれよ!」

畑だより ―冬から春へ、そして夏へ―

沖縄などの南の島々にたよっていた春野菜が、いよいよ関東平野に移ってきました。「空飛ぶトマト・キュウリ」とかかっていた輸送費が大幅に少なくなることで価格も下がり、品揃えも量もふえてきます。
5月26日店頭販売をやる神奈川・北原君の畑では、イベント情報にあるように充実してきました。
栃木鹿沼の鈴木章さんからは、ブロッコリー・カリフラワー・絹さやえんどう・スナップエンドウ・パクチー・小松菜・チンゲン菜・小かぶ、5月下旬からグリーンピースとつづきます。
70才になった章さん夫婦は牛も飼って、米も麦も作って、そして野菜も……と、どんだけパワフルに働いてんだろうと励みになります。
空豆は千葉からと、いよいよ豆・サヤの季節です。
なかなか悩ましいのが、皆同時期で同じ種類の野菜が育ち、それも2~3週間で終わってしまうので、誰から注文したらいいのか困ることです。
トマト・キュウリ・ピーマンなど夏野菜は、まだ九州・沖縄にお願いしています。
果物は、いちごが5月20日位、りんごが5月下旬に終了します。柑橘類(甘夏・夏みかん・黄金柑・河内晩柑・グレープフルーツ)は終了に向かっています。メロン・びわ・サクランボはまだまだなので、果物が少ない時期になります。
有機青梅の入荷日が確定しました。梅酒・梅ジュース用が6月3日から2週間。梅干用が6月17日から2週間。400年続く奈良西吉野・王隠堂さんの畑からです。ご注文受付を開始します。
10連休も終わって、日々の暮らしをゆっくり過ごしましょう。

畑だより ―ハーブスマンと土に戯れる春です―

「香りも味も良くて、品を感じる」と評判なのが、ハーブスマンのドライハーブ(バジル・オレガノ・アイリーミント・草花茶・紫蘇べに茶……)の数々です。
春になったので、ハーブスマンの野菜とハーブの苗がはじまります。
4月8日(月)から5月まで順次入荷してきます。ケール・ミニトマト・青じそ・パクチー・ジャーマンカモミール・スイートバジル・ピーマン・とうがらし・なす・タイム・ペパーミント・レモンバーム・セイジといったラインナップです。畑で育った順番に出てきます。入荷予定表をお渡ししますので、ご注文ください。
ところで、ハーブスマンってどこの誰なのよ?どうしてハーブスマンって名のってんの?ということですが、、、
ハーブスマンは福山君という名で、畑は茨城にあって、住んでいるのは千葉の市川です。
20年程前、ポランの八百屋さんで数年働いていて、ドレッドヘアのボブマーレー(レゲエの神様)の信奉者でした。それから、インドの放浪の旅に出たのでした。
田舎の村を歩いている時、体調が急変して行き倒れてしまったのです。気がつくと農家の土間に寝ていたのです。体調が回復するまで1週間お世話になったのです。
その間、その家の人は草花のお茶や料理を出してくれ(医者や薬屋というものがなかったのです)、苦かったり甘かったり香りが良かったり、食べたり飲んだりしているうちに体に力が漲ってくるのが感じられたのです。
「これは何?」とボディランゲージをまじえて尋くと、手を引いて家の裏の草原に連れていってくれ、一つ一つの草や花を指して頭やお腹や目を手のひらでこするのです。
「ああ、この草がお腹が痛いときにきくのか」とわかりました。
それからも旅を続けたのですが、「日本に帰ったらハーブ作りをやろう」と心に決めたのです。
それが、ぼくがハーブスマンと名のりはじめた体験でした。いつも、あのぼくの命を甦らせてくれた村人とハーブのことを思い出しながら育てています。
と、ハーブスマン福山君からのメッセージです。
温かさもあって、春の野菜が前倒しで育っています。
葉っぱも瑞々しい春大根・菜の花・のらぼう・紅菜苔・春キャベツ、春~夏シフトが本格化してきた南の島々からトマト・キュウリ・ミニトマト・ピーマン・パプリカ・ズッキーニ・にがうり・プチ空豆とにぎやかなラインナップが揃いはじめています。
蓮根・白菜・里芋が終了に向かっています。
果物は柑橘類が豊富で、期待の黄金柑がついに出ました。出始めなのでまだ酸味が残りますが、味が濃いです。ただ、南伊豆の山の中腹に山本剛さんの園地はあるので、ヒヨドリと野猿のベストディナーになっているようで、出荷量は少ないです。
グレープフルーツ・河内晩柑・タンカンは鹿児島・屋久島から、甘夏は熊本から届いています。
天気がいいのでイチゴもおいしいです。
いよいよ春になりました。体を動かして、おいしいものを食べましょう。

畑だより ―気分はもう春です!―

「田舎時間をのんびりとPART2」北原ファミリーはどう過ごしていたのでしょうか?
年が明けて2ヶ月余り、人参とさつま芋しか出荷野菜がないので、堆肥づくりや畑の土を掘り起こして空気を入れたり、農機具を磨いたり、使わなくなった納屋の解体したり、なかなか出来なかったパンを焼いたり、畑におむすびをもって子供たちと“畑めぐりツアー!北原クンちの畑はどれでしょう?あたるとプレゼントがもらえます!”で盛りあがったり……。
あと半月もすれば、田舎時間から街時間にスイッチが切り替わり、時間とのせめぎ合いがはじまります。7年目の春です。
3月の中旬から、かぶ・ほうれん草・小松菜・菜花・のらぼう菜・キャベツ・大根……がイッキにきそうです。
「借りている畑が大小14箇所もあって、どこに何を播いたかも忘れる程だし、陽当り・水はけ・風の通りも違うので生育がまちまちだし……」「あったかくならないと育たないし、あったか過ぎると育ちすぎるし、ひとつひとつ穫るタイミングもちがうし、あ~あ、いよいよはじまるのかよって気分ですね。あひるさんにドンドン送るので、たくさん買ってたくさん食べてください。今年もよろしく」と、北原瞬君・祥ちゃんからのメッセージです。
沖縄では春夏シフトの野菜が本格的にはじまっています。きゅうり・トマト・ミニトマト・いんげん・プチ空豆(トーマーミー)・ピーマン・パプリカ・にがうり・島らっきょう・セロリ・新じゃが芋・新玉ねぎ・南瓜……もう夏ですね。カラフルな色合いの野菜が、店内を華やかにしてくれます。
先日の県民投票の報道を見ていて、「殺し合う軍事基地の拡張じゃなくて、生かし合う畑を広げろ!沖縄のことなんだから沖縄の人が決めるのが当たり前だろ。ニッポンやめちゃえ」と思ったものでした。
今年は暖かったせいで春野菜の生育が早く前倒しででてきそうなので、「端境期」をほとんど感じずつながったようです。
果物は柑橘類が豊富です。甘夏・デコポン・河内晩柑・タンカン・黄金柑(まだだけど)とビタミンCたっぷりで、寒さで疲れた体を回復してくれます。
花粉症の人にはとっても申し訳ないのですが、気持ちも体もウキウキする春です。

畑だより ―冬だっていうのに南の島々はもう夏気分だって?!

冬の寒さで身も心もすっかり閉じ込められている気分のこの季節、「朝起きて“お~お寒ぶ”と腕をこすりあげるのは年に2~3回かな」「エーッ!ストーブやコタツなんかないよ」とのたまうのは、沖縄・奄美の島々の人たちです。
だから、育つ野菜も春夏シフトに移行してきました。
新玉ねぎ・新じゃが芋・ケール・きゅうり・トマト・ミニトマト・ピーマン・パプリカ・いんげん・プチ空豆・島らっきょう・タンカンなどがはじまっています。沖縄本島・宮古島・石垣島・久米島・奄美大島からの出荷です。
さえぎるもののない陽射しと、清澄な海風と穢れのない土に育てられた野菜・果物はこの上なく美味です。
沖縄のお百姓さんとの出会いは25年程前になります。当時ポラン広場グループのネットワーク担当のぼくと農産担当の今井さんと2人で、四島を一週間かけて巡りました。
「10月、まだ泳げるゾ」とバッグの底に水着をおしこんで出発です。
那覇で宅配をやっていた大森君が、各島の会場と、“有機農業”に関心があったり既にはじめているお百姓に声をかけてくれていました。
熱い熱い出会いと、狂喜乱舞の夜が続きました。ボルテージの高さは沖縄の百姓たちが100倍以上上回っていました。
島には1~3人位有機農業をやっている百姓がいました。でも、“出荷先”がないのです。島内は勿論、本土の有機野菜取り扱い団体も、コストパフォーマンス(荷がまとまらない・輸送が難しい)の点でためらっていました。
そんな中、「おれたちの気持ちをわかってくれるかもしれない奴が来た」と大歓迎をうけたのです。
ポラン広場は大きくない流通グループですから、1人とか2人とのつき合いが丁度よかったのと、沖縄とやってみたかったのです。
宮古島の百姓は出発のアナウンスがあるまで“機内”に入ってきて、両手を握りしめながら話しつづけ、「おれの友達がスッチーだからいいんだ(???)」と別れを惜しんでくれ、久米島の青年は親指に穴があいたくつ下の足を高く上げながら沖縄の踊りを舞ってくれました。
お酒を一滴も飲めないぼくには辛いものがありましたが、沖縄そばがおいしくて毎日食べたのと、“出会い”の熱量に翻弄された一週間でした。
沖縄・奄美・徳之島・南大東島と島々の野菜・果物が続きます。
野菜の多くは愛知渥美半島の天恵グループから届きます。キャベツ・大根・ブロッコリー・カリフラワー・セロリ・サニーレタスなどです。“有機農業”第一世代(ぼくと同じ年回り)が退き、第二世代が活躍しているグループです。
葉物(ほうれん草・小松菜・ちぢみほうれん草・春菊・菜花など)と保存野菜(白菜・里芋・人参・ごぼう)は、栃木・茨城・千葉・神奈川・群馬などの畑から出荷されています。
果物は、いちごの竹村さん(茨城)、りんごの伊藤さん(青森)、瀬戸内海・井場さんのネーブル、熊本津名木の甘夏、群馬・大野さんのキウイフルーツ、みかんは熊本・肥後あゆみの会と静岡・西山さんから届いています。
期待の南伊豆の山本剛さんの黄金柑は、山猿とヒヨドリとの争奪戦に負けないで出荷されるでしょうか?
今年は畑とのどんなつき合いになるのか楽しみです。
あったかいものを食べてください。

 

 

 

 

畑だより ―田舎時間でのんびりと―

寒さがまして霜も降りて、収穫できる作物も少なくなって、村の景色も枯れ色に染まってきています。
まもなく“端境期”に突入です。4月の春野菜の出荷まで3ヶ月余り、お百姓との日々のおつき合いが途絶えます。
1年中チマチマと休むことなく働いている八百屋から見ると、ロングロング冬休み+春休み、お百姓たちは何をしているのか気に掛かります。
どうせ朝から酒飲んで、温泉行ってお湯につかり昼寝をしこたまして、時々気が向いた時畑に行って取り残した腐ったキャベツや大根をけとばしたりして……
ということで、年末野菜をお世話になった栃木鹿沼の田島君にきいてみました。
年を追うごとに百姓をやめる人がふえて、その度「田島のところでうちの畑やってくんねえかな」と依頼され、「村の畑を荒らしているわけにもいかねえよな」と引き受けているようです。
だから農業機械がふえて、土の上よりトラクターに座っている方が多い日もあるそうです。
「年末ガンバッタから、畑には里芋以外なにもなくなったよ。ほっと一息です。それまで収穫・出荷に追われて、4時宅急便屋さんが来るまでにほうれん草を100、小松菜を200、三浦大根を100畑に行って収穫して、15種類位やったからなあ。箱に詰めて伝票書いて……、全て集荷時間から逆算していくんですよ。これって街時間だよね」
「今は出荷がないし、野菜も急に育たないんで、ゆっくり起きてサテ今日は何しようかなと飯を食いながら考えるんです」
「昨日は近くの林にいって、背負いカゴに落葉をあつめ、4時間位やって山になったので、河原でおむすびを食べながら木の枝に糸をつけて魚釣りをやって、眠くなったんで落葉の中にもぐりこんで空をみていたら鳥がとんでて、眠くなって……、そんな一日でした」
「これを田舎時間、畑時間というのかな。百姓はいいなあとしみじみ思うんですよ。春からまた街時間に追いまくられるんだろうけど、この期間があるから百姓をつづけられるんだと思うんです」
と、田島君は語ってくれました。端境期は生産者がお百姓に戻れる時間なのかもしれませんね。
サテ、寒さは野菜・果物をおいしくしてくれています。葉野菜は自ら糖度をあげて寒さから身を守っています。だから甘くて味わい深くなるのです。
新しく登場しているのは、ふきのとう・ちぢみほうれん草・絹さやえんどう・沖縄宮古島のきゅうり・デコポン・はっさく、もう少しすると黄金柑つつづきます。
1年が始まりました。街時間と田舎時間の2つを楽しめる年でありたいと思います。

畑だより ―年末・正月用野菜はどうなの?―

あったかすぎる冬の到来で、野菜がどんどん育っています。寒くなるといなくなる虫も、元気に野菜を食い荒らしています。
キャベツも白菜も大根もほうれん草も小松菜も立派に育って、2週間前拳の2回り位の大きさしかなかったキャベツが嘘のようです。
「ようやく育ったか!よかった!よかった!」と言いたいところですが、今度は別のことが気掛かりになります。
ひと雨きて晴れるとキャベツ・白菜は割れちゃうんじゃないか?大根は大きくなりすぎてスが入るんじゃないか?ほうれん草はトウ立ちしないか?小松菜は大松菜になっちゃうんじゃないか……。そして、最大の懸念は「年末に野菜はあるんだろうか?」ということです。
さっそく北原君(神奈川愛川町)にきいてみました。
「その通りです!あひるの年末用に播いたものが、10日位したら出せそうです。特に小松菜。困ったなあ、成長とめられないしなあ。大きくならないでと祈るばかりですよ」という答え。
これまた2週間前まで出荷できる野菜がなくて、「大きくな~れ、大きくな~れ」と念じていた北原君なのに、全く百姓の仕事は大変です。
正月用野菜は作付してあります。
八つ頭(山梨・栃木)、三浦大根(茨城・栃木)、切三つ葉(北海道)、菜花(鹿児島)、きゅうり(沖縄)、トマト(沖縄・熊本)、ピーマン(沖縄)、いんげん(沖縄)、下仁田ネギ(栃木)、生わさび(静岡)、金時人参(千葉)、ゆり根(北海道)、絹さやえんどうとくわいは今季ないです。
12月中旬位まで潤沢で、下旬(肝心な時!)品薄になりそうです。
果物は、茨城・竹村さんからいちごがはじまりました。鮮度・味・香りが抜群です!はじまりは大粒系になります。
寒くなってみかん・りんごも一段と味が濃くおいしくなってきました。
今年も1年不順な気候に翻弄された畑でしたが、百姓たちはみなさん元気です。

畑だより ―点から線へ、線から面へ、そして海外へ……―

残念なお知らせです。
ポラン広場発足時(1983年)からのメインの農家だった茨城・要ファームが閉園することになりました。代表の磯山さんが体調を崩し、長期入院を余儀なくされたことに因ります。
35年余りにわたるおつき合いでした。
磯山さん・ヒロ子さんご夫妻とポラン広場には果たしたい夢がありました。
「農協(JA)月へ行く」とまで言われていた農協全盛時代、「反農薬・反農協」を掲げ有機農業を営んでいくことは、自ら村の中で孤立を選んでいくようなものでした。
それ故、有機農業を営む農家はあっちにポツン、こっちにポツンと「変わり者」として存在しているだけで、地域の中でのつながりをつくっていくことができないでいました。
「地域に有機農業の畑を拡げていこう!」と、仲間づくりをはじめたのです。
『要ファーム』と名付け、大きな集荷センターや研修もかねた集会所、海外からの農業研修生のためのログハウスを建てたり、ハム・ソーセージ製造の作業所も併設していきました。
有機農業への全面転換に尻込みする地域の農家には、「ネギだけ」「大根だけ」「ほうれん草だけ」と畑と作物を限って依頼し、有機農業への関心と有機の畑を地域に中に拡げていったのです。
一時期30数名の地域の農家が要ファームに出荷していました。ポラン広場を通じた消費者との交流も「トマト祭り」「田植え」「収穫祭」と数多く催してきました。
「地域に有機農業の畑を拡げる」という試みは実を結んでいったのです。そのメインキャストは磯山さん・ヒロ子さんご夫妻でした。
しかし、高齢化・後継者不足や、栽培の難しさや、「お金にならない」などの要因で一人また一人脱けていきました。
決定的だったのは福島の原発事故でした。茨城も放射能の影響を受け、出荷がとどこおる時期が続いたのです。厳しい最低基準値を設けた要ファームとポラン広場に対し、10倍以上の緩い基準値のJA出荷に多くの農家は流れていったのです。
磯山さん・ヒロ子さん夫妻のチャレンジは、今なお解決できない有機農業の課題としてあります。
残念です。体を治して元気な姿で会いたいものです。

野菜・果物は順調に育っています。寒くなって野菜も果物もおいしくなってきました。風邪などで体調を崩さないようにしましょう。

※この通信を書き終わってしばらくして、磯山さんが急死したとの一報が入りました。入院にそなえて前日まで車で駆け回っていたそうです。家族にとっても私達にとっても思いがけない訃報でした。「生き切った」という事なのかもしれません。安らかにお休みください。

(狩野)