このムシ暑さ、どこの百姓たちもトーンが二段階位下がって音を上げはじめています。なんと言ったって遮るもののない畑の中での作業ですから、想像しただけでつくづく「百姓でなくてよかった」と思うのです。そこで、先ずは敬意を込めて私と同じ年齢(75才)の栃木鹿沼・鈴木章さんマツさんの畑から。
3週間位かかった田植えも終わり、ヤレヤレと一息つく間もなくこの暑さ。まず牛がやられました。朝夕の牛(8頭)への餌やり・牛舎の清掃に加え、大型扇風機で風を送ったり水浴びをさせたり、手間と気づかいがふえ、その分章さんの体力気力が削りとられているようです。
畑では自家用の夏野菜が育っていますが、あひるへの出荷は7月初旬からの南瓜・枝豆がはじまりです。例年、章さんの南瓜はホクホク甘くて、お客さんの評判はNo1です。「ここ数年、この夏で畑終いかなと思ってるよ。今年もこれで終わりだ。最後の力を振りしぼってやるゾー」と空元気を出していました。
一方、同じ鹿沼の田島君のトマトがはじまりました。この4月から栃木県庁を辞めて息子が一緒にはじめました。「村の畑を荒らしたくない」と引き受けてしまった畑はなんと3町歩。章さんと逆のベクトルに向かっています。あひるの夏のトマトのメインは田島君になります。
「去年の夏のようにはならないゾ」と、コロナと熱中症に翻弄され秋冬野菜の準備が出来ないまま終わってしまった神奈川愛川町けのひ農場の北原君・祥ちゃんは、この半年新しいスタッフも加わり比較的順調に来ていたのですが、咳風邪に家族全員かかってしまって、暑さで体力を奪われているだけでなく咳で一層辛い状態になっています。にもかかわらず野菜はグングン育っています。なす・コリンキー・キュウリ・セロリ・インゲン・モロッコインゲン・ズッキーニ・青じそなどが入荷しています。
そうそう、咳風邪にかかる前、北原君は35kmの山道を走り抜くマラソンにエントリーしたそうです。あまりのアップダウンの厳しさに、10km位で「ダメだと思ったのだけど、行くしか帰れないので地獄でしたね」と、いかにも北原君らしいチャレンジスピリット。無謀ともいうんだけど……。この夏ガンバッテください。
八王子キテレツファーム神田君は、ここ3~4回あひるへの配送ができず、育児休業中の妻サオリちゃんにお願いしています。3年前、八王子の畑を見せてもらった帰りに寄った自宅でサオリちゃんに会ったのですが、その時「君も畑をやるのかい?」ときくと、大きく手を振って「ダメダメ、陽にやけるからやらない」と朗らかに言い放ったのが、とても爽やかな印象でした。「もう大変みたいよ。朝起きたらいないし、夜もごはんたべた後ヘッドライト灯けて畑に出かけているし、夏まだはじまってないのにねえ」「そうだ、アイス買って帰ろうか」とキャンデーをひと抱えして笑顔でトラックに乗りこんでいくのでした。
「百姓をやるにあたって月々7万円家に入れる」という約束を、3年目にしてようやく果たせるようになって、神田君は家でも畑でも伸びのびしているようです。とうもろこし(これが絶品)・キャベツ・ビーツ・枝豆・なす・セロリ・ミニトマト・インゲン・キュウリなどが届いています。
あとは、ともかく一年で果物の最も豊富な季節です。大玉小玉西瓜・人気No1の桃・奄美大島野生種のガラリ(すもも)・山梨大石早生(すもも)・沖縄パイナップル・千葉メロン・栃木浜田さんのブルーベリー・和歌山内芝さんのびわ・そろそろおしまい河内晩柑・バナナと、今日は何を食べようと迷ってしまいます。今夏は雨が少なかったので甘い!です。
あっ!らっきょう、まだあります。注文ください。
畑だより ―夏のはじまりはいつもツライ!―
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