Daily Archives: 2020年12月6日

あひるの店先から ―年末商戦アレコレ歳時記 今年はどんなドラマが待っているのだろうか?―

ついに12月に入りました。店内には恒例のタワーが組まれ、ギフト・クリスマス・おせちのチラシが差し込まれ、あひるオリジナル【笑月おせち】のサンプル写真が並べられています。
マスクもコロナの状況もありますが、呼吸が浅く息苦しさを感じる日々がはじまりました。注文をとったり集計したり発注したり、に追いまくられる日々がはじまったのです。
特に12月28日~31日の4日間には数多くのエピソードがあり、思い出すと「どうして?」「なんで?」「エーッ!!」の事ばかりで、今だに「どうしてそうなったのか?」総括できない事ばかりです。
仕入れをおさえる30日になんでみかんを20ケースもとったのか?置くスペースがなく、階段にも所狭しとお米がストックされたのは、「正月はごはんダ!」とでも思ったのでしょうか?結局、翌1月中のスタッフの昼飯が年越しそば1パックと伊達巻き1本食いだったのは、売れると思ったんだろうか?「3パック買うと1パックおまけ!」などとあおってもあんまり減らず、「寒いからいいヤ」とやけくそくなってレジ前に肉を山積みしたけど、あの大量に残った肉はどうしたんだろう?「ヨシ!決戦ダ!」と意気込んで店に来た30日、雪が舞いはじめ、またたく間に大粒の雪になり、店先に並べられた野菜・果物や店外のストック野菜は雪に埋もれはじめ、雪の降りしきる中慣れないチェーンの装着に手間どり、お客さんは来ず、配達の車は坂道でスリップし散々の「決戦の30日」だった後始末はどうなったんだっけ? …………数々のドラマがありました。
10年経っても臨場感を持って思い出せるのが、11年目を迎えたあひるオリジナル【笑月おせち】(みんなのおせち)の初年度のことです。
第1回目は出張料理『きまぐれや』のシェフ吉田君1人が全てのメニューをつくるおせちでした。メニューの全てがカタカナで、料理説明をすることもできなかったのですが、珍しいということもあってか、たくさんの注文をもらいました。
31日午前9時、羽村レストラン『きまぐれや』で引き渡しということで、あひるスタッフはルンルンで向かったのですが……
「お店が開いてないし、ノックしても出てこないんだけど、電話してみてくれない」とスタッフからの連絡があったのですが、電話をしても出ないのです。店にもお客さんが来はじめ、合い間合い間をみながら何回目かの電話でつながり、吉田君の声は今にも泣き出しそうでした。
事情はこうでした。
「朝4時にスタッフ1人と料理が完成し、やったね!とお重に詰めはじめたら予想外に時間がかかって詰められない。今、応援の人を頼んだので、出来上がったお重から持っていってもらいたい。詰める事がこんなに時間がかかるとは想定できていなかった。申し訳ない」と言うばかりでした。
知人に連絡して急遽車を出してもらい、羽村⇔国立を3台の車でピストン輸送することにしました。
おせちの来店お渡しのお客さんも来られ、「これから親のところに持って行くのだけど、何時頃になるかしら?」ときかれても全く答えられない状態がつづくのです。断続的にあひるスタッフ・助っ人から「三段重4、一段重2積んで出ます」と連絡が入るのですが……、店での販売もやりながらですから途中でわからなくなってしまったのです。
誰に渡して誰に待ってもらっているのか?来店→配達に切りかえてもらったのは誰だっけ?チェックはしているのですが、確信が持てないのです。
その間も「配達何時頃になる?」との問い合わせをいただくのですが、「う~~~ん、夕方位には……」と言うしかないのです。
最後のあひる分(おそらく)が店に着いたのは7時を回っていました。最終確認をして、配達が戻ってきたのは9時も過ぎていました。「パジャマで出てきた人もいたよ」ということでした。
店の2階で年越しそばを作って、時を待ちました。「配達もれ」「配達ちがい」の連絡があるかと息をひそめて耳をすませていました。
12時が回り新年になりました。「ヨシ!もうないだろう。おつかれさん、来年もよろしく」と散会したのです。ミスは三段重の二段目が2つ入っていたという1件でした。
翌年から吉田君はスタッフをふやし、作り手も甘味ゆいの由井君、酒まんじゅう久保田商店の佐藤さん、魚屋さん海野くん、かねやま水産の伊藤君なども加わり、メニューもオリジナルな黒豆・伊達巻・かまぼこなどなじみのある品物もふえ、一時半減した注文も「一品一品の旨さ、すごさ」が評価され、楽しみにしてくれる方がふえてきました。
30日夕方、作り手が自分の料理・お菓子を『きまぐれや』に持ちこんで、みんなで朝までお喋りをしながら詰める作業をしています。
由井君は「あの時間が楽しみなんですよね。普段ちがう仕事をしている人たちだから、とっても刺激になるんですよ。31日朝、自分の注文分を車に乗せて帰る時、ああ1年が終わったんだなと清々しい気持ちになるんですよ」と言います。
今年も更に料理・お菓子のグレードがあがっています。
サテ、今年はどんなエピソードが刻まれるか楽しみでもあります。なんにもない方がいいんだけどね。
アッ!30日は混んでパニックになりそうなので、分散してお買い物してください。お願いです。

(狩野)